今さら聞けない。「裁判」と「調停」っていったい何が違うの?

 

新米 「民事家事って?」

E子 「民事を扱うのは、地方裁判所の調停、家事を扱うのは、家庭裁判所よ。どちらか選ぶなら、私も家事事件に詳しくなる方が面白いと思ったわ」

所長 「それでも、昨日の離婚事件は、過重労働が原因で気持ちがずれて行った悲劇ストーリーを経験させてもらったよ。

朝7時の出勤、夜中の2時に帰宅の連続。おまけに同族会社の社長・専務と部下との板挟みからメンタル的にも追い詰められているのに、家に帰ると、子供にかかりっきりの妻。家庭で居場所がなくなって、家を出るために借金をしてしまい、消費者金融へ返済が膨らみ、送金もできなくなる、変に責任感が強くて、帰りたいのに帰るに帰れなくなる、あのとき、心のうちをもっと話していれば良かった、あのとき、もっと話を聴いてほしかった…

誰かが話を聴いてさしあげることができる場があれば、想いが吹き出し、今回は珍しく円満解決に向かいそうなんだ。転職できたこともあり、メンタル的にも落ち着いてこられた」

E子 「その事件って、社労士の業務を俯瞰してみているようですね」

所長 「そう思うだろ。調査官は、『誰が悪いって会社が悪い事件ですよね』って意見を言っていたよ」

新米 「僕は社労士の業務範囲は、今でも広すぎて大変です」

所長 「たしかに社労士の業務範囲は、思っていたより多いだろう。労災、雇用保険、健康保険、年金だけでなく、給与計算、就業規則、賃金や退職金、派遣や職業紹介、メンタルヘルスや人事制度に労使間紛争…。採用から退職までの出来事に限らず妊娠・出産から亡くなる手続きまで、人生のあらゆることにかかわる、『人に関すること』ってくくるとすごい大きな範囲になるよな」

新米 「はい、アップアップです」

所長 「でも、面白くないか? 経営者ともっと関わると、いろんな悩みを打ち明けてもらえるぞ。職場のことはもちろんだが、それこそ、離婚や遺産分割、相続や自殺など重たい家庭内の争い事だ」

——

■ 家事事件とは (裁判所

家庭内の紛争などの家庭に関する事件は、家族の感情的な対立が背景にあることが多いので、これを解決するには、法律的な観点からの判断をするばかりでなく、相互の感情的な対立を解消することが求められています。また、家庭に関する事件を解決するに当たっては、その性質上、個人のプライバシーに配慮する必要がありますし、裁判所が後見的な見地から関与する必要があります。

そこで、家庭内の紛争やその他法律で定める家庭に関する事件については、家庭裁判所が、それにふさわしい非公開の手続で、どのようにすれば家庭や親族の間で起きたいろいろな問題が円満に解決されるのかということを第一に考え、職権主義の下に、具体的妥当性を図りながら処理する仕組みになっています。

この家庭に関する事件は一般に家事事件と呼ばれ、さらに審判事件及び調停事件の二つに分かれます。また、家庭裁判所では、履行勧告手続など、これらに付随する手続も扱います。

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