いじめ事件を解決する気がない「自称第三者委員会」衝撃の実態

 

5. 独立性を担保してこその第三者委員会

体操の宮川選手について、体操協会は第三者委員会を発足し、調査を行うことを決めたというニュースは記憶に新しい。これは塚原夫妻(強化本部長、副会長)によるパワハラについて調べたり、塚原氏らが監督などを務める朝日生命のクラブへ宮川選手を無理に引き抜こうとしたとされる問題についても調べるわけだが、当初発足の第三者委員会に朝日生命関係者がいると言う告発を受け、委員が辞退を表明した。

つまり、その問題について中立公平、フラットな心情を委員が持っていたとしても、第三者委員会を務めるにあたっては、利害関係を含め関係性がないと言うことを担保しなければ、第三者性を保てないというのが、常識なのだ。

ところが、やはり、教育委員会が常設してしまった自称第三者委員会は、その存在として常設である以上、独立性を公に担保できなくなっている。

6. 名古屋市いじめ自殺問題では委員会運営自体に疑問

名古屋市の事件では、自称第三者委員会はその会議への参加が委員、5名であったり、6名であったりしており、常設の割に委員全員が出席していないことも確認されている。さらに、問題なのは、いじめを否定した教育委員会が事務方を務め、15~20名近くの教育委員会の各部署のメンバーが会議に参加している。そして、議事録についての問い合わせには無言を貫く

もしも、議事録がなければ、委員会を開催していること自体を評価することすらできないというのが、一般的常識的判断ともなろう。

これで、公平中立を謳うのなら、呆れてモノも言えない。

7. 愛知県、県教委は二転三転

愛知県の県教委は、被害者に対して当初はハッキリ、第三者委員会が調べているという名目を盾にしていたが、委員会へ資料提供をするなどの際に、あまりに不自然な点が多かったため、質問を繰り返すと、検討委員会をやっています的な発言に変わり、いつのまにか第三者委員会の存在が隠れてしまった。

検討委員会については、そのメンバーについては、弁護士とか臨床心理士、元警察官など役職ばかりの案内しかなく、誰が?が明確になっていない。

つまり、第三者委員会はオバケであり、出るぞ出るぞと言われていただけであるとも評価できる。いじめの被害者からいじめを解消してほしいという要望から、単に逃げるために使われた便利な名簿こそが、愛知県の第三者委員会なのかもしれないのだ。それは、私ではなく、第三者委員会のメンバーこそが教育委員会に物申すべきだろうし、県民は行政をチェックすべきだろう。

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