いじめ事件を解決する気がない「自称第三者委員会」衝撃の実態

 

3. 第三者委員会の存在意義

本件2件には、第三者委員会が関与しているという報告が遺族・被害者になされているが、この第三者委員会とは、教育委員会が常設した、常設第三者委員会なのである。

普通、第三者委員会は各事案ごとに設立され、その公平中立性を保つために、遺族や被害者から意見や推薦を受け、委員に平等性を持たせようとするものだ。

これは、やはり、その存在が中立で公平でなければならないことや、事務方になりやすい教育委員会との関係と差をつけるために行う意味もあり、存在意義としては重要なことだ。

ところが、常設の第三者委員会は任期があり、地域行政の寄せられる多くのいじめ事案を取り扱うことになる。名古屋市も愛知県も6名ほどの委員で構成されているが、驚くことに、名古屋市でも愛知県でも委員に名を連ねる委員も存在する

これでは、いじめ自体は数千件に及ぶほどの数があり、複数の命に関わるいじめ問題を扱うには時間的にも人員的も限りあるであろう。

そして、何より、行政に雇われる形となるこの第三者委員会は、当事者ではないという意味で第三者であっても、利害関係というところに至っては、市や県から独立性を保てるとは到底考えられない。

独立性を担保したいのであれば、やはり常設化することは避けなければならない。

以前、私は東京都教育委員会におけるいじめ自殺問題で発足した第三者委員会の存在について、その第三者性を否定し、これを調査委員会と評価したが、組織図としては、教育委員会の下に置かれた委員会であることが明らかになって以降、彼らは第三者委員会と名乗ることはなくなり、調査委員会ですと言うようになった。

4. 常設の第三者委員会は流行っているのか

調べてみると、意外に常設の第三者委員会は、市などの地域行政に広がっている。

遺族の会やいじめ問題でよく意見交換をするNPO法人などにも問い合わせをしたが、常設の第三者とはすでに第三者性を失っており、やはり、組織図を調べる限り、教育委員会直下に発足させた調査委員会に過ぎないと言える。

そもそも、この委員会は調査を行うスキルが低い、こうした調査や資料集めなどは、事務を担当する教育委員会が行うことになっている。

教育委員会のいい加減な調査、いじめはなかったとしたがるバイアスのかかった調査に不満を持ったり、公平性や中立性が保てないと思って、第三者委員会を求める遺族や被害者からすれば、一旦は自分たちを否定し、命の重みのカケラすら伝えられない教育委員会に絶望しての話だから、これに教育委員会が深く関わるのであれば、第三者のメリットがない実質の調査委員会に何かを委ねるということは、時間と労力と行政の予算、つまりは税金の無駄遣いに他ならない。

が、第三者委員会を自分の行政の配下的存在にできれば、結果すらもコントロールはできる。調査の結果は不都合の連発であるだろう、が、結果すらコントロールできるのであるから、そこに価値を見出したと考える方が妥当だろう。

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