現役医師が警告。血圧高めの方は新基準だと高血圧症かもしれない

 

クスリより効くゼロ次予防

高血圧症はもともと生活習慣病です。アフリカのある地域の人々は、塩分摂取量が少ないために、高血圧症がほとんどいません。どの程度の摂取量かというと約3グラムです。この程度の摂取量で大丈夫なのか、と思う方もいるかもしれませんが、人類の体は進化の過程で低塩分食に適応するようにつくられてきました。世界保健機構は、1日の塩分摂取量を5グラム以下とすべき、としています。日本人の平均塩分摂取量は10~12グラム程度となっており、明らかに塩分過剰です。

また、肥満の人が高血圧を発症した時、体重を戻すだけで血圧も戻ることがありますカリウムマグネシウムなどを多く含む果物や野菜をよく摂るようにすると、血圧も下がります。ウォーキングなどの軽い運動も、長期的には血圧を下げる働きがあります 。生活習慣病は高血圧以外にも、肥満、糖尿病、脂質異常症、脂肪肝などがあります。このような生活習慣病は、すべて生活習慣の強力な改善で完治することが可能ということがわかっています。

病気になった人たち、あるいは病気になるリスクの高い人たちだけを対象に、予防医療の介入を行う方法を高リスクアプローチと呼びます。一方、健康とされている人たちも含めて全ての人々がデフォルトとして、生活習慣を改善する方法をポピュレーションアプローチと呼びます。実は、集団全体に対する効果としては、高リスクアプローチよりもポピュレーションアプローチが効果が高いことがわかっています。

予防医療の用語に1次予防2次予防があります。1次予防は、症状がない人に対して予防的介入を行うもので、高血圧に対する血圧コントロールなどが当たります。

2次予防は、脳梗塞や心筋梗塞などの症状が1度は出た人に対して、その次のイベントが出ることを予防するために、薬を飲んだりすることなどが当たります。ポピュレーションアプローチによる予防医療は、1次よりもベースに来るものなので、私は「ゼロ次予防」と呼んでいます。血圧が高い人はもちろん高くない人も含めて、みんなで塩分摂取量を減らす工夫が必要です。それをデフォルトとするのがゼロ次予防なのです。

文献
Khera R et al. Impact of 2017 ACC/AHA guidelines on prevalence of hypertension and eligibility for antihypertensive treatment in United States and China: nationally representative cross sectional study. BMJ 2018; 362: k2357.

image by: Shutterstock.com

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