子を思う幽霊も通った京都飴屋の周辺で「あの世」を感ずる旅

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京都旅行の醍醐味といえば、歴史を感じられる自分なりのスポットを見つけることかもしれません。1,000年以上の歴史を誇る京都には、数百年の歴史を持つ老舗もたくさんあります。20代目が切り盛りする飴屋さんには、はるか昔に幽霊の常連さんもいたとか。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者の英 学(はなぶさ がく)さんが、あの世とこの世を行きかえるかのような不思議な名所を紹介しています。

幽霊子育飴とその周辺

安土桃山時代、今から約440年前のある夜、飴屋の主人が店じまいをしていた時に青白い顔をした女性が店を訪れます。女性の雰囲気に不気味さを感じつつも、主人は飴を売りました。その日以降、その女性は毎晩飴を買いに来ました

7晩たった翌日の朝、主人が売り上げを勘定する時に銭箱の中に1枚の樒しきみの葉が入っていてることに気づきます。何だか不思議に思った主人は、例の女性を怪しいと思いました。その日の夜、主人は女性の後をつけることにしました。するとその女性は墓場へと歩いて行きました。そして1つの墓の前で姿が消えたかと思うと、墓の中から赤ん坊の泣き声が聞こえました。主人は赤ん坊を助けようと墓を掘り返すと、なんと赤ん坊は母親と同じ棺の中にいました。

埋葬後に出産した女が幽霊となって飴を毎晩買いに来ていたのです。三途の川の渡し賃である六文銭で飴を買い7日目からはお供えの樒の葉をお金に変えていたのです。死してなお我が子を思う、母の強い情念がこもった話ですね。

さて、この話の舞台となったお店が京都には実在し現在も営業しています。さすが京都ですよね~。祇園や清水寺からも徒歩圏内の東山に現存する幽霊子育飴本舗です。500年以上の歴史を誇り、日本で最も古い飴屋として引き継がれています。現在は20代目で女性の方がお店を切り盛りしています。

みなとや幽霊子育飴本舗 店内

みなとや幽霊子育飴本舗 店内

image by:  みなとや子育飴本舗 - Home | Facebook

幽霊飴の色は黄金色で琥珀の様にキラキラとしています。材料は麦芽糖だそうです。素朴で懐かしい後を引く味です。母乳の出ない女性の幽霊が我が子に食べさせていた飴の味でもあります。

幽霊子育飴本舗の辺りは確かに幽霊が出てもおかしくないような場所と言えるでしょう。お店は六道の辻ろくどうのつじという道路に面して建っています。六道は、仏教の世界で死後人間が行くとされる、地獄界・畜生界・餓鬼界・修羅界・人間界・天上界の6つの世界のことです。それら6つのあの世の世界とこの世の境界だということです。

昔は、人は死ぬと山に帰るとも言われていたそうです。京の市街地から見て鴨川の向こう側で山の手前のこの辺りは鳥辺野とりべのと呼ばれる埋葬地でした。

また、この辺りは六波羅蜜寺と六道珍皇寺ろくどうちんのうじが交差する場所でもあります。六波羅蜜寺は、南無阿弥陀仏の六文字が阿弥陀像となって口から出ている空也上人の像があることで有名なお寺ですよね。

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