「もふもふ」が感覚的に伝わる。日本語と日本人の耳のヒミツ

 

いっぽう、話し手にとってのオノマトペの利点は、

  • イメージが伝えやすいこと
  • 状態までも音声化できること
  • 感性をそのまま音声化できること
  • 変形しても大丈夫=自由であること

などが挙げられるでしょう。

まず、「イメージが伝えやすいこと」について。上記の具体例、「真ん中の層は、たっぷりのクリームがいかにもふわふわしていて、中にはざっくりと大きめにカットされたイチゴがゴロンゴロンと…」でもお判りいただけると思うのですが、オノマトペだけで、かなりの事柄を言い尽くしてしまえますよね。

言い換えると、オノマトペは多くの情報を含んでいる、ということです。オノマトペの情報量が多いのは、曖昧で感覚的だからです。情報通信の分野の研究などで、曖昧なことを数値化、デジタル化する研究も進んできていますが、それが難しかったのは、膨大な解析が必要だからですよね。

オノマトペの言葉たちは、そんなビッグデータを、短く、しかもダイレクトに送信できるわけです。もちろん聞き手の側にも、ふわふわとはこういう状態、ゴロンゴロンとはこういう状態という共通認識もありますが、それと同時に、「ふわふわ」という音から感じられるイメージを、聞き手も自分の脳の中で解析して、自分の知っている状態に置き換えて映像化=イメージしてくれます。

ですから、「もふもふ」なんていう、比較的新しいオノマトペも、広く知られていなくても、なんとなく感覚的に伝わってしまうわけですね。

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