たまには、欲張ってみる。一休禅師ゆかりの大徳寺で特別の紅葉を

 

大徳寺の特色の一つはその広大な境内に23にも及ぶ塔頭があることです。そしてそのうち龍源院を除く22の塔頭が茶席を持っています。茶道との縁が深く結びついているのが最大の特徴といえるでしょう。特に聚光院は利休の墓碑があり三千家の菩提寺になっています。

また1641年に建てられた大徳寺の方丈は国宝に指定されていて、内部の84面の障壁画は全て狩野探幽が描いたものとされています。狩野探幽は小堀遠州配下の画家だったので、方丈(庭園)も遠州は設計である可能性が高いと伝えられています。

敷地の形状は幅36メートル奥行12メートル、3対1の比をもつ長方形です。石組は全て複雑な黄金比によって配置されています。黄金比は、古代エジプトのピラミッドの幅と高さの関係や、ギリシャ時代のパルテノン神殿のプロポーション、古代ローマの建築にも用いられた手法です。これらの手法は16世紀のルネサンス、バロックの時代にヨーロッパでも大流行し、人間が根元的に美しいと感じる比率とされています。

大徳寺の方丈に黄金比が用いられていることは遠州がキリスト教宣教師から学んだ西欧文化の一つと考えられています。この黄金分割は三五の比と呼ばれ遠州のあらゆる茶の作法にも常套手段として用いられています。

大徳寺にはこのように堺の豪商や小堀遠州、狩野探幽など当時の名だたる有力者から庇護を受け栄えたことが伺えます。敢えて権利や金銭から距離を置いたことで、結果としてその両方が後から備わって繁栄した歴史があります。禅本来の姿を追求する純粋な姿勢それを貫く精神の強さが大徳寺を支えてきました。そのようなことを意識して紅葉を眺めて観ると柔らかな秋の日差しに包まれるグラデーションもまた違って見えることでしょう。

いかがでしたか?京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: 京都フリー写真素材

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