池田教授が一刀両断。いまさら国際捕鯨委員会を脱退する日本の愚

 

国内ではIWC同様の非科学的な法律がまかり通る日本

冒頭に記したように、まだ経済大国であった頃に脱退すれば、国際社会に与える影響もかなりあり、捕鯨国を組織して新しい国際機関を作ることも可能であったろうが、ここまで国力が下がってから、尻をまくって脱退しても、負け犬の遠吠えに過ぎない。ちなみに日本の一人当たりのGDPは2000年には世界第2位であったが、この5年間くらいは20位以下に低迷している。日本はここの所、韓国の元徴用工裁判でも、ゴーンの裁判でも、自らの正義だけを言い立てる夜郎自大が目立ってきた。国外に仮想敵を作って、憲法を改悪して戦争ができる国になったところで、国民の生活は向上しない。

ところで、日本はIWCで主張しているように、科学的調査に基づいて持続可能な範囲で採取しても問題ないという立場を常にとっているかというと、そんなことは全くなく、国内の野生動物保護では、科学的調査などは全く行わずに、多くの昆虫を採集禁止や養殖禁止にして、さらには標本の譲渡も禁止して分類学的調査を妨害しているのだから、私のような昆虫愛好家からしたら、IWCよりはるかに悪質である。オキナワマルバネクワガタやヨナグニマルバネクワガタやヤンバルテナガコガネなどは、養殖技術が確立されているので、養殖をして増やして市場に流通させれば、密猟もなくなるし、種の絶滅確率も極めて小さくなるのに、採集も養殖も譲渡もダメで、生息地の環境破壊だけは進んでいくというのではいずれ絶滅は免れないだろう。

なぜそうなるかというと、「虫を採集するのは可哀そう」という情緒は昆虫採集に何の利害関係もない圧倒的多数の人たちにいとも簡単に受け入れられやすく、環境省は自然保護に熱心だというプロパガンダができるからだ。辺野古に基地を作るために、サンゴ礁を破壊する大浦湾の埋め立てに異議を申し立てない環境省が自然保護に熱心だというのは笑止だけれどね。

日本がいくらIWCは科学的でなく無茶苦茶な決定をすると息巻いても、日本政府は日本国内ではIWCと選ぶところがなく、国内のマイノリティに対し、同じことをやっているわけだから、衆寡敵せず、圧倒的な反捕鯨の国際世論の前には蟷螂の斧で、努力と金は水泡に帰すというくらい分かりそうなものだけれどね。

image by: shutterstock.com

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