都市圏の「中学受験ブーム」が日本を滅ぼしかねない2つの理由

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今年も1月下旬となり、本格的な中学受験シーズンが到来しました。東京都内に限っていえば32%、実に3人に1人は受験を経て私立や国立に流れている計算になるわけですが、このような傾向に大きな問題があるとするのは、米国在住の作家で教育者でもある冷泉彰彦さん。冷泉さんはメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で2つの問題点を提示した上で、私学助成金の一部を公立中学の再生に使うべきと記しています。

ここが変だよ中学受験ブーム

1月から2月の首都圏では、中高一貫教育校の中学受験の季節を迎えます。その昔は、2月1日が私立の一斉受験日で、併願は国立ぐらいしかダメでした。ですが、最近は、千葉や埼玉の学校が1月に先行入試を行う一方で、2月1日以降も2次募集を行う学校があり「一発勝負」から「複数のチャンスへ」という変化があるようです。

こう申し上げると良い変化のように聞こえますが、この中学受験ブームというのは問題大有りだと思います。全てを否定はしませんが、ブームの過熱に歯止めをかけることは、教育政策上の課題だと思うのです。

東京都の「設置者、編制方式別生徒数」統計(2018年度)によれば、東京23区の中学生数は19万2,952人で、そのうち公立は13万1,627人ですから、全体の68.2%に過ぎません。約32%つまり3人に1人は私立や国立に流れている計算です。世田谷区に至っては、全中学生数2万136人のうち公立は1万565人で実に約50%の比率になっています。

勿論、私立や国立の場合は、域外から通学するケースもある(逆もあるでしょう)わけで比率については厳密な数字ではありませんが、全体の傾向としては中学受験をして進学する中学生の比率は非常に大きいわけです。

何が問題かというと、今回は2つ挙げてみたいと思います。

1つは、首都圏における格差の再生産という問題です。近年では、無償化制度が実施されているとはいえ、受験して入る一貫教育校に「受かる」には塾通いをしなくてはなりません。このコストはバカにならないわけで、結果的に富裕層しか一貫校には入れないということになります。

そうなると親の世代の格差が子の世代に継承される、つまり「格差の再生産が起こるわけです。問題は、それが不公平なだけではありません。何らかの苦労をしてきて、その苦労のために上昇エネルギーがあったり苦労人への共感能力があったりする人材が社会の意思決定グループから疎外されてしまう、これが問題です。

結果的に、社会の全体像が分からない人材に権力が集中するわけで、そうなると決定に誤りが起きて、全体が苦しむ可能性が増えるわけです。更に言えば、苦労してきた社会階層から出てくる「突出した才能を社会として生かせないというロスも抱えることになります。この制度はダメです。

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