ここで、年休の計画的付与について、いくつか注意すべき点をお伝えします。
事業所全体の休業による一斉付与の場合、年休がない従業員や少ない従業員の扱いが問題となります。このような従業員に対しては、特別の休暇を与えたり年休日数を増やすなどの配慮が必要です。もし、このような配慮がない場合には、休業手当の支払いが必要になります(平均賃金の60%の支払い)。
また、事業所によっては、いろいろな事情であらかじめ年休付与日を定めることが適当でない従業員もいると思います。そのような従業員については、労使協定を結ぶときに、対象労働者から外すことも考える必要があるでしょう。
次に、退職予定者の扱いですが、付与日が退職日より後に計画されている場合には、計画的付与日より前の(要は在職中の)年休取得を請求してきても、会社は拒否できません。
なお、計画的付与として時間単位年休を与えることは認められませんので、この点も注意が必要です。
この計画的付与により、従業員が年5日以上の年休を取得した場合には、4月からの新ルールである「年5日の年休の確実な取得」をクリアしたことになります。
ちなみに、年休の計画的付与に関する労使協定について、労基署への届け出は必要ありません。しかし、当然ですが従業員への周知は必要になります。
以上を踏まえて、改めてお聞きします。
「御社でも、年休の計画的付与を検討されては如何ですか?」
image by: Shutterstock.com
ページ: 1 2