飛行機が4時間遅れても、気の短いニューヨーカーが怒らないワケ

 

もういいよ、食券くらい。並ぶのやめよう。そう提案する僕に、さすが主婦。うちは4人分だから$50!バカにできない、と列に並ぶ嫁。でも、チンパンジーとオランウータンを連れて、10泊分のスーツケースを持ったままいつ終わりが来るかわからない長蛇の列に並ぶのは、結構な精神的体力的ストレスです。それでも20~30分経てば、自分たちの番に。やっとカウンターにたどり着けました。

次の瞬間─。「飛行機直ったから、みんな機内に戻れー!」のアナウンス。暴れてもいい?いつもなら僕が言いそうなセリフを汗だくになった横にいる妻が発しました。

カウンターのおばさん、よかったねと笑顔。ムカついたから、「食券よこせ」と言います。いや、だから、もう飛行機直ったの。食べに行く時間ないわよ。すぐ機内に戻って。「いいから、よこせ、この場で捨てるから」そう言う僕を、さっきまで無表情だった妻が無理やり機内に連れて行きます。結果、出発予定からちょうどピッタリ4時間後に、飛行機は飛び立ちましたー。

気の短いニューヨーカーが怒らない理由

でも、実は、本音を言うと、そこまで怒ってないんです。もともとゆっくりするための正月旅行というのもあるけれど、それよりなにより、もう慣れてしまった。むしろ、メルマガネタできた、くらいに楽しんでいる。

渡米当初は、、いや、ほんの5~6年前までは、かなりストレスフルでした。でも、いまでは逆に、母国の必要以上の卑屈なまでのおもてなし感の方が苦手になってしまいました。

日本の航空会社の出国の際、パスポートを搭乗口で見せるとき、とびっきりの笑顔で首を傾げながら「高橋さま、いってらっしゃいませ」は、あれ、間違いなく、オレに気があるんだろうな、と思わされました(僕の前にいたおばあちゃんにも、僕の後ろにいた中学生にも、まったく同じ表情、同じセリフだったけど)だって!アメリカの航空会社であんな笑顔見せられることないし!

なので、よく日本のバラエティ番組等で、お笑い芸人さんたちが、サービス業の人たちに「どないなっとんねええん!!ってキレたりましたったわ!」という話を聞くと、彼らはもし世界に出た場合、どうするのだろう、とふと余計なお世話なことを考えてしまいます。

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