2003年初夏、私は総務省の委託で米国のネットワーク・セキュリティの調査を行い、日本との間に20年もの開きがあることを明らかにしました。技術的には2~3年の後れなのですが、日本はある段階に達するとそこに安住してしまう傾向があり、その間に1年の後れが7年にも相当する「ドッグイヤー」の世界が日進月歩を遂げ、20年の差とみなされるというわけです。
このとき、米国側は核兵器の研究開発の中心であるサンディア研究所(ニューメキシコ州アルバカーキ)で行われている重要インフラ防護の取り組みについても、私の聞き取り調査を認めました。この研究所に入ったのは、日本人では私が初めてとのことでした。
米国側がそこまでサービスしたのは、日本のサイバーセキュリティのレベルが低すぎて、米国を狙う敵は必ず米国とつながっている日本から侵入してくる、つまり日本はセキュリティホールになっているから、早く水準を高めて欲しいというのが理由でした。
それから15年以上を経過して、日本のサイバーセキュリティのレベルが飛躍的に向上したとは思えないところが散見されるのですが、ドイツは、そしてフランスは、それを理解しているかどうか疑問です。米国は、ドイツとフランスの情報を収集するとき、やはり日本から入ろうと考えているかもしれない、などと思ってしまった次第です。
願わくは、ドイツ、フランスとの連携にあって、立ち後れている日本のサイバーセキュリティのレベルが嫌でも向上してほしいものです。それが日本の安全を確かなものにすることにつながる。そう願いたものです。(小川和久)
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