「虐待死」はもうたくさん。児相に人質救出と同じ法理の執行権を

 

そして、何より大切なのは現行の児童相談所に執行機関としての権能を付与すべきであるということである。そのための人員は警察からの出向という形で構わない。誰もが分かっていることだとは思うが、すわ一大事という時には残念ながら荒事抜きという訳にはいかない。自分と専門家と被害児童を物理的に守れる屈強な人間の存在はどうしても必要である。

また、バッジを持った警察官が常に随行していれば専門家も家庭訪問の時など安心して職務を遂行できるのではないだろうか。それに実に情けない話だが、威圧的な態度の人は自分より強そうな人間に対して萎縮する傾向がある。「お前は今大変なことを起こそうとしているんだぞ。決して目を離さないからな」と睨みを利かせるだけでもそれなりの抑制効果は期待できるのではないだろうか。

こうなると最早、児童相談所というより児童保護局とでも呼ぶべきなのかもしれない。それでいい。そして再び、誤解を恐れずに敢えて言う。時にはその家庭を踏みにじってでも児童を保護すべきなのである。人質救出と同じ法理で構わない。そういったあり方に対して、あるいは人権保護団体等からさまざまな抗議が寄せられるかもしれない。それでもいい。子供の命が失われるよりは余程ましである。

ケン・ローチ監督の映画『レディバード・レディバード』を観たことがある人なら、外部の所謂専門家の判断が時として如何に残酷に家族を引き離すかということを十分知っていることだろう。それでも、勇気を持って優先順位をつけようではないか。まず子供の命が一番である、と。

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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