次に定額部分ですね。この女性の場合は64歳(平成30年3月の翌月)から定額部分が発生。
- 64歳からの特別支給の老齢厚生年金(定額部分)→1,625円(平成30年度定額単価)×168ヶ月=273,000円
● 厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)
つまり、64歳からは特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分288,583円+定額部分273,000円)=561,583円(月額46,798円)と増額する。これを平成31年3月分まで貰う。平成31年4月分からは定額部分は消滅して、国民年金から老齢基礎年金が支給される。その老齢基礎年金の上に、老齢厚生年金(報酬比例部分)が乗る形。
この65歳時には支給額変更通知書という通知書で年金額の変更をお知らせするのですが、定額部分の消滅(この女性なら273,000円)による厚生年金の減額で驚かれるんですね^^;。でも定額部分は国民年金に移行した事、そして年金総額自体は65歳前と後では減らない事を確認してもらうしかない。
65歳からは国民年金から老齢基礎年金が発生する。老齢基礎年金は20歳から60歳までの年金加入期間(厚年や共済期間も含む)から算出する。この女性は20歳前から厚生年金に加入してますが、この女性が20歳になるのは昭和49年3月から。この昭和49年3月から基礎年金の計算に入ってくる。
- 65歳(平成31年4月)からの老齢基礎年金→780,100円(平成31年度基礎年金満額)480ヶ月(20歳から60歳までの期間)×(厚年30ヶ月+3号期間96ヶ月+全額免除期間124ヶ月÷3+厚年115ヶ月)=780,100円÷480ヶ月×282.333ヶ月(小数点3位まで含む)=458,849円
- 65歳からの老齢厚生年金(差額加算)→1,626円(平成31年度定額単価)×168ヶ月-780,100円÷480×145ヶ月(20歳から60歳までの厚年期間)=273,168円-235,655円=37,513円
※補足
差額加算は定額部分から基礎年金に移行する時に、定額部分と老齢基礎年金の計算式が異なる事で生じる差額を埋めるためにある。
また、厚生年金は20歳から60歳まで加入という制限(一応70歳上限)はないが、国民年金は原則として20歳から60歳までの加入なのでその差額を埋めるために存在するものでもある。
よって、65歳からの年金総額は、
- 老齢厚生年金(報酬比例部分288,583円+差額加算37,513円)+老齢基礎年金458,849円=784,945円(月額65,412円)
厚生年金加入期間以外に国民年金第三号被保険者期間とか免除期間があったのでその分の年金は増えましたね^^
なお、この女性は厚生年金期間が20年以上無くて、昭和41年4月1日以前生まれなので振替加算62,804円(この人の生年月日による定額)が老齢基礎年金に加算される場合がある(夫に20年以上の厚年か共済、または両方で20年以上あれば)。
● 加給年金と振替加算(日本年金機構)
65歳からは新たな年金にはなりますが、それが本来の正式な年金なので覚えていてほしいと思います^^
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