「個体伝承音」が問題になるケースとしては、屋上やルーフバルコニーのデッキの設置の仕方が悪くて、重量床衝撃音(歩行音等)が響いてしまう。住戸の床を二重床にして空気層を設け、遮音性を上げたはずが、床と壁が接する部分の処理を間違えているため、軽量床衝撃音(食器を落とす音など)が響いてしまう。二重天井にして、天井裏にグラスウールを敷き詰めて上の階の騒音が伝わりにくくなっているはずが、施工の仕方が悪い(床と天井がつながっている)ため、まったく効果がない。そんなことがあるのです。
また、建物内にポンプ室、ラック式駐輪場等がある場合、その機器の設置状況が悪くて、機器の振動が直接壁に伝わってしまうために、壁を伝わって、上階に音が響くということがあります。特に、駐輪ラックを後から設置した場合は気を付ける必要があります。壁や床を伝わってかなり広範囲に響くので、原因になかなか気づかないこともあります。
日経アーキティクチャ─(2019.3.14)で、建築上解決できる音の問題が特集されていて、参考になりました。特に、二重床、二重天井になっていても、施工の仕方が悪いと効果がないことがある…ということは、覚えておいてくださいね。
きちんとリフォームしたはずなのに、どんなに気をつけても、下の階から苦情がくる…というような場合は、施工者も気がつかない施工上の問題がないか、疑ってみる必要があるかもしれませんよ。
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