現在の緑色をした蒸し製の煎茶は、1738年に京都・宇治田原の農家、永谷宗円(ながたにそうえん)によって生み出されたと言われています。 それまで庶民の間で飲まれていた煎茶は茶色(ややこしいですが、皆さんがふだん連想するブラウンです)の粗末なもので色は茶色でしたが、永谷宗円が考案した新たな製茶法「青製煎茶製法」によって、煎茶の姿が一変しました。
お茶の色は鮮やかなグリーンになり、味と香りに優れた高品質の煎茶になったのです。この煎茶は話題を呼び、江戸や上方(近畿地方)を中心に全国に広まり、煎茶の主流となりました。この功績から宗円は「煎茶の祖」と呼ばれています。ちなみに、お茶漬け、ふりかけで知られる「永谷園」の創業者は、永谷宗円の子孫の一人です。
煎茶の製法は、摘んだ生葉を蒸すところからスタート。その後、葉を何段階かに分けて揉み、乾燥させながら形を整えていきます。煎茶を蒸す時間は30~40秒ほどとされていますが、生葉の蒸し時間を2~3倍にして、1~2分ほど蒸してつくったお茶は「深蒸し煎茶」と呼ばれます。茶葉が柔らかくなるので、お茶を淹れたときに成分が抽出されやすく、色も濃い緑になり、味も濃くなります。
式場では、あたたかい日本茶での接待が定番ですが、くれぐれもスタッフさんに対して知識をひけらかすことのありませんように。心の奥底で知っていれば良いのです。
例えばお煎茶を趣味とされた故人様とご縁があった場合などに、その違いを知っておくことで、ナレーションに深みが出るかもしれません。
ああ、なんだかお茶が飲みたくなってきた。
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