ひとつはっきりしたのは、病院を指定していない、ということです。検査項目については、一応雛形を作りました。しかし、病院を指定せずにどうやって正しく健康診断が行われる保証があるのでしょうか?
考えてみて下さい。
なんらかの感染症を持っている人が入国してパンデミックが発生したらどうなるか?
ましてオリンピックの最中に!
また、外国人労働者が入国して住民票を入れると、国民健康保険証がもらえます。入国早々に発病したり、高額医療が必要になるケースもあり得ます。
だから、オーストラリアでは指定病院による事前の健康診断が義務付けられているのです。
実は、この点に気が付いて法務省に質問してくれた議員が複数いました。しかし、最後まで詰めることなく、散発的な質問で終わってしまっています。
これほど重大な問題なら、部会長がフォローアップすべきなのですが、部会長自身がことの重大さを理解していなかったのでしょうか。
また、本来ならば、法務副大臣が責任を持って法務省に回答させるべきですし、法務省の対処が不十分なら改善させるべきです。そのために大臣や副大臣がいるはずですが、部会に出席していないことが多いと聞いています。
その一方で、「発展途上国でそんなことを突っ込むと都合が悪いんだよ」などと平気で言う議員もいます。
そもそも健康診断を実施できない国からは労働者を入れるべきではありません。
こんな基本的でかつ重大な穴も埋められないまま、なし崩し的に進む外国人労働者受け入れ。これが日本という国の脆弱さなのです。
このリスクに気付いているのは、このメルマガの読者だけかもしれません。
※追記
もうひとつ。N1と呼ばれるレベルの日本語能力を有し、日本の大学を卒業して日本で就職した場合は、雇用関係が続く限りは家族帯同で無期限で滞在できる、つまり、永住できることがわかりました。
その結果、海外では「日本に移住するなら留学が手っ取り早い」という話が広まっているそうです。ちなみにオーストラリアでは労働許可には必ず期限があります。このように甘いのは日本だけです。
山岡鉄秀 Twitter:https://twitter.com/jcn92977110
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