国際交渉人が警戒。アルジェリアの政変が地域にもたらす変動の嵐

 

1つ目は、先にもお話したブテフィリカ氏の取り巻き、Pourvoirの存在です。国民の支持を失ったブテフィリカ氏を切り捨て、自分たちの特権を堅持するためにさまざまな策を尽くすと思われるからです。すでにブテフィリカ氏が引退すると報じられたころには、何度も首相の座に返り咲いているウヤーヒア氏や、2014年から2017年まで首相を務めたセラール氏などを担ぎ出すような動きも見られます。

ちなみに、現在の首相は無所属のベドゥイ氏ですが、彼は、あくまでも年明けから激化したブテフィリカ氏への批判をかわすためにあえて与党ではなく、無所属の人物を首相に担ぎ出したに過ぎないため、ブテフィリカ氏の後任とはなり得ません。

また、ブテフィリカ氏の辞任を受けて大統領代理を務める防衛副長官のベンサラー氏も、高齢ながら、軍部を掌握しているため、侮れない存在と言えます(そして、ブテフィリカ氏が存命である限り、恐らく彼を通じて院政を敷くかもしれません)。つまり、20年にわたったブテフィリカ氏の独裁体制が“終焉”したとはいえ、実質的な変化は起こらないでしょう。

2つ目には、積み重ねられた財政赤字と悪化する一方の失業率の存在です。2018年のデーターでは、失業率は12%ほどですが、20代から30代の失業率については、50%から60%と算出されており、若年層での社会不満が顕著になってきています。また、日本のように失業保険制度は存在しないため、大学教育や専門教育を受けても働き口がなく、収入のあてもないという状況です。

それに加えて、ブテフィリカ政権の下、インフラ整備のために外資の投資を呼び込もうと、インフラ工事を発注していますが、ことあるごとにクレームを吹っ掛け、工事代金の支払いを行わないか著しく遅延させる傾向が顕著になったことで、外資企業が次々と国際商務紛争調停を持ちかけたり、訴訟に訴えたりして、アルジェリア政府が悉く敗訴しており、その賠償金額は年々増えています。

そしてアルジェリア経済を立ち行かなくさせてしまっている元凶は、一向に改善しない原油価格です。国家財政に占める石油関連産業の割合が少なくとも6割という経済であるため、国としての収入も年々減少しているにもかかわらず、失業対策で始めた公共事業が立ち行かず、費用ばかりがかさむという悪循環に陥っているため、アルジェリア財務省筋によると、「本当にヤバイ」のだそうです。

この“やばい!”状況は、数年前からIMFや世界銀行でも問題視されているのですが、ブテフィリカ政権はその“やばさ”を否定してきたため、国際的な金融支援も滞っています。

ゆえに、ブテフィリカ後のアルジェリアにおいても、目立った改善の種は見当たらず、国家財政の破綻と、生活環境の著しい悪化がもたらすcivil unrestの懸念が高まってきています。

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