国際交渉人が警戒。アルジェリアの政変が地域にもたらす変動の嵐

 

何度もお話しているように、元々アラブ地域を統治していたオスマン・トルコ帝国に起源があるトルコは、オスマン帝国崩壊後も、アラブ社会の盟主として君臨し、その地位はエルドアン氏が首相時代に確固たるものとなりました。一時期は「エルドアンこそ、アラブの父」とさえ言われ、実際に地域のリーダー達が、困ったことがあると彼に相談し、トルコが調停役を果たしてきました。

トルコの独特のバランスが崩れたのは、エルドアン氏が改憲まで行って自ら大統領に君臨し、半ば独裁状態を作ってからと考えられます。バラク・オバマ氏がアメリカ合衆国大統領のころから、アメリカとトルコの関係の悪化は始まり、トランプ大統領になってから、一気に悪化しました。

トルコはバランサー兼NATOのパートナーとして、中東・欧州地域をカバーする戦略拠点の役割を果たし、イスラエルとイランの間で常にある緊張状態が戦争に発展しないように見張るバランサーの役割を果たしてきました。しかし、トランプ大統領のアメリカとの確執が頻発する中、エルドアン氏が選んだのは、プーチン大統領とのパートナーシップを強化して、ロシアを中東に招き入れるという戦略でした。

NATOの戦略拠点を抱えながら、ロシアからS400という最新鋭の防空ミサイルを購入することにしたため、アメリカの怒りを買い、トランプ政権から数度にわたり経済制裁を発動され、これまで新興国通貨のリーダーと目されてきたトルコ・リラは一気にその安定性を失うきっかけになっています。

同時に、これまで微妙なバランスを保ってきた中東諸国との関係もギクシャクしてきています。その顕著な例は、サウジアラビアとの関係です。もともと、サウジアラビアは国力を蓄えつつ、アラブの盟主たる立場をトルコから奪いたいとの意図もあり、よりアメリカ寄りのスタンスを保ちました。

1990年の湾岸戦争開戦前に、アメリカの戦略爆撃機の離陸を躊躇するトルコとは違い、サウジアラビアは、米軍および他国籍軍の戦闘機や爆撃機の発着を認め、国内基地を開放することで、一気に力を付けたといわれています。

とはいえ、トルコには常に敬意は表してきたのですが、それを一気に悪化させたのが、昨年のカショギ氏事件を巡る両国の攻防です。トルコからの脅しに屈してはならないとの意地でしょうか、これまで以上にイスラム教スンニ派の国々を束ねる努力を続けています。

そして、イランと良好な関係を保つトルコへの牽制球として、これまであまり表立ってしてこなかったイラン敵対主義を表面に出してきています。そこに、長年のサウジアラビアをはじめとするアラブ諸国の敵国であるイスラエルが絡むことで、一層、中東情勢は緊迫化しています。これまでのトルコであれば、その緊張を水面下で解きほぐす実力があったのですが、今はどうか分かりません。それはなぜか?

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