「美味しい」食べ物を売るのは当たり前…、と思ってしまいますが、世の中には「マズさ」を売りにした商品が少なからず存在します。人間は何故、わざわざお金を出してまでマズいものを買ってしまうのでしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で人気コンサルタントの佐藤きよあきさんが、単なるゲテモノではない「マズさ」を売りとしたマーケティングについて考察しています。
「マズい!」のに売れている食品がある。それは、なぜ?
世の中には、不思議・不可解なマーケットが存在します。
「世界一マズい飴」「世界一マズいグミ」「日本一マズいラーメン屋」「日本一マズいパン」。
これらは、マズいことで注目されたにも関わらず、ブームとなって売れたのです。「マズいというのは戦略で、本当は美味しいのでは?」という推測は的外れで、実際にマズいのです。
では、なぜ、マズいものが売れたのでしょうか。「恐いもの見たさ」という心理があるように、「マズい!」という評判は、興味をそそられます。「本当にマズい」と聞くと、“どれほどのものなのか?”が気になって仕方がないのです。好奇心旺盛な人ほど、味を試したくなるのです。
ある意味、飽食の時代ゆえの“遊び”のようなものなのではないでしょうか。美味しいものはいくらでもありますが、世の中にマズいものは少ないのです。そこに、希少価値さえ感じてしまうのではないでしょうか。お金を出して、わざわざマズいものを食べるのは、“スリル”を味わっているとも言えます。
この「マズい!」というマーケットは、偶然に生まれたものではありません。起源はわかりませんが、自然発生的にさまざまなメーカーから、「マズいもの」が発売されているのです。
海外では飴やグミがありますが、日本でも「たこ焼きようかん」「たこ焼き風ラムネ」「キムチ風ラムネ」などが発売されています。これらの商品は、ネットで「日本一マズい!」と“賞賛”され、「被害者の会」が設立されたほどです。しかし、中にはロングセラーとなっている商品もあります。
ここまで注目され、売れ続けてしまうのは、確信犯の仕業だと言っても良いでしょう。巧みなマーケティング戦略です。
また、そうした商品をわざと仕入れ、テクニックで売り切るお店もあります。「ヴィレッジヴァンガード」です。マズい商品を陳列し、POPをつけて売るのです。
「罰ゲームにどうぞ」
「こんなもの、買っちゃダメ!!」
もう、買わずにはいられません。
「マズい!」は単なる“ゲテモノ”ではありません。人の興味を掻き立て、しばし“楽しい時間”を過ごさせてくれます。やり過ぎると飽きられますが、たまの“スリル”は面白いものです。
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