くら寿司の空回り。炎上動画よりも深刻な「減収減益」本当の原因

2019.04.15
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ハンバーガーに突きつけられた「ノー」

そうした閉塞感を打開するべく投入されたハンバーガーで、V字回復どころか、消費者にノーを突きつけられた状況だ。

新発売された「KURA BURGER(くらバーガー)」は、米粉や黒酢を混ぜたふんわりとした「シャリバンズ」にパテを挟む趣向の商品で、250円(税抜)。ミートとフィッシュの2種類があり、特にフィッシュはフライにするのではなく、寿司に使わないこれまで捨てていた部位を再利用し、自社工場でミンチにしてパテに加工した力作である。開発に5年の歳月を費やしたという。

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くらバーガー フィッシュ(左)、ミート(右)

レタスのほか、タマネギの天ぷらを挟んでいるのも大きな特徴で、寿司屋だからできた和の味を強調している。「くら寿司」の基本の考え方として、食品添加物の無添加が貫かれ食の安全・安心面も強調

しかも、若者が集まる渋谷に、2月25日から3月3日まで、「くらバーガー」専門のショップをオープン。ガリとワサビを合わせる食べ方や、米麹などでつくる「くら寿司」で人気の飲料「シャリコーラ」も揃えて、新しいハンバーガーの誕生をアピールした。

「くら寿司」がサイドメニューのPRのために、短期間ながらも専門ショップを出店するのは初めて。回転寿司業界でも珍しく、「スシロー」が昨年7月、原宿にスイーツ専門ショップを1週間の期間限定で出店した例があるのみだ。その後、「スシロー」はスイーツを本格的に取り組む店としての認知力が上がり、特にランチとディナーの間の顧客が減る隙間時間の集客が、高校生大学生のとりわけ女子を中心に上がっている

「くら寿司」がハンバーガーに取り組む理由も同様に、アイドルタイムの間食需要を狙ったものだろう。渋谷に専門店を出店したことから、魚を敬遠して寿司を普段食べない若い人に特に食べてもらいたいといった提案だ。

マクドナルドは周知のように100円から商品があるが、ビッグマックは390円。2番手以降の主たるハンバーガーショップの主力商品の値段は、モスバーガー、フレッシュネスバーガー、バーガーキング、ウェンディーズなど、いずれも300円台後半から400円台。シャイクシャックのような素材にこだわったものには、600円近くするものもある。

「くら寿司」の値段設定は、マクドナルドの100円バーガーと、ビッグマックやモスバーガーの中間を狙ったもので、180円からあるロッテリアよりは高い。こうしたハンバーガー専門店との比較から、かなり強気の価格設定と言わなければならない。ハンバーガーを生業としているロッテリアのメイン商品より100円近く高く、100円マックの2.5倍の値段である。

「スシロー」の有名店とコラボした、パンケーキやアップルパイは280円(税抜)が基本で、コラボ先のベリー・ファンシー、グラニースミスなどスイーツ専門店の商品より3割くらいは安い。東京などの有名店に行けない地方の人に、その味のエッセンスを知ってもらうといった狙いも含んでいて、スイーツ専門店の販売促進の側面を持つ。スイーツ専門店との共存共栄が考え方の基本にある。

消費者もその趣旨を理解して食べに行っている。「スシロー」は専門のパティシエを入社させて真剣に取り組んでおり、スイーツを学ぶ姿勢の本気度が十分に伝わってくる内容。パンケーキの初回の発売では、品切れが続出して、一時発売中止に追い込まれたほどだ。

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