くら寿司の空回り。炎上動画よりも深刻な「減収減益」本当の原因

 

ズレ続ける事業の力点

「くら寿司」は、大阪府貝塚市に天然魚のみを扱う鮮魚店「くら天然魚市場」を2016年にオープンしており、実は天然魚に非常に熱心な回転寿司チェーンである。アピールすべき商品はいくらでもある

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くら天然魚市場(大阪府貝塚市)。くら寿司を併設、その日収穫した天然魚を販売

今回のフィッシュバーガーでも、天然魚のすり身が使われているが、テリヤキソースの味が強すぎて、それを使用する意義が伝わっていないのではないか。とても残念だ。

「くら天然魚市場」は「くら寿司」に併設されているが、「くら寿司」の魚の目利きに優れたバイヤーが選んだ魚が漁場直送中間流通を通さない鮮度の高さを保って安価で売られているので、地域のファミリーに人気が高い。むしろ「くら寿司」は、サイドメニューに過度に入れ込むより、「くら天然魚市場を全国の要所に配置したほうが、ブランド力が上がり、寿司の売上も上がるのではないだろうか。事業の力点がどんどんズレてきている

ハンバーガーでは「くら寿司」は救えない。サイドメニューで切り崩せるほどハンバーガー業界は脆弱ではないのだ。寿司とネタである魚をもう一度しっかり売ることから、バイトテロ問題を克服する再建を始めてほしいものだ。

長浜淳之介

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

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兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

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