サンゴ礁の死滅が途上国の人々に「深刻な健康被害」をきたす理由

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前回の記事「サンゴ礁の北上と死滅が、なぜ「沖縄の海の青さ」を奪うのか?」で、沖縄のサンゴ礁が危機に瀕していて、それはすなわち沖縄の青い海の危機でもあると指摘したメルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で現役医師の徳田先生。今回は、サンゴ礁に存在する生態系に多くの栄養素を依存する途上国の人々を襲う健康被害について、各栄養素ごとに解説。二酸化炭素排出量世界第5位であるわが国の責任と行動の必要性を訴えています。

栄養源としてのサンゴ礁

世界のサンゴ礁沿岸地域の人々は、サンゴ礁に存在する生態系から重要な栄養素を摂取しています。魚、貝、エビ、カニ、イカなどです。ビタミンやミネラルを豊富に含んでいる貴重な栄養源です。これらの魚介類に含まれる主なビタミンやミネラルには、ビタミンB1、ビタミンA、鉄、亜鉛などがあります。

しかし近年、温室効果ガスが増えているために地球温暖化が進行し、海水温が上昇しています。また、温室効果ガスの一種である大気中の二酸化炭素が増えているために、海水の酸性化が進んでいます。さらには、近海での過剰な漁獲も重なった効果により、サンゴの白化と死滅が進んでいます。

日本などの先進国の人々では、これらの栄養素が欠乏することはないと考えられます。経済力があるので食品を輸入できるからです。しかし、途上国ではそうはいきません。サンゴ礁に存在する生態系に、重要な栄養素を依存しているのです。ビタミンB1、ビタミンA、鉄、亜鉛が欠乏すると重い病気にかかります。ここでも、環境破壊では途上国の人々がやはり犠牲になりやすくなるのです。

ビタミンB1とAの欠乏

ビタミンB1が欠乏すると脚気にかかります。末梢の神経が障害されるので、手足の筋肉に力が入らなくなり動けなくなります。脚気では心臓もやられるために、心不全もきたすので、診断と治療が遅れると死亡することもあります。脚気心と呼ばれています。

ビタミンB1欠乏では脳の病気もおこします。ウェルニッケ脳症と呼ばれています。体のバランスも取れなくなったのちに、眼球が動かなくなり、最後は意識もなくなっていきます。また、コルサコフ精神病というタイプもあります。この精神病では、認知症となり、記憶することができなくなります。

ビタミンAは眼と皮膚の機能に必須です。ビタミンAが足りなくなると、暗闇で物を見ることが難しくなります。夜盲症と呼ばれています。また、皮膚が乾燥し、ニキビが出て、毛髪が薄くなります。眼の中で白眼の表面に斑状のカサブタのようなものができます。

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