NTTドコモ「4割値下げ」に見えなくもない「苦肉の策」は損か得か

 

アップルとクアルコムが知的財産訴訟で和解成立――インテルはスマホ向け5Gモデム開発をギブアップ

アップルとクアルコムは4月16日、スマホ向けモデムチップの知的財産を巡る訴訟で和解に達したと発表した。

そもそも、アップルはクアルコム社製のモデムチップを採用していたが、クアルコムはアップルに対してモデムチップの代金に加えて、それに伴う特許使用料についても請求

しかし、その請求額が高額だったためか、2017年にアップルは「使用料が高すぎるとクアルコムを提訴。一方で、クアルコムは対抗措置としてアップルを知的財産権の侵害で訴えたのだ。

アップルは2016年から徐々にモデムチップの調達先をクアルコムからインテルに切り替え、昨年からはすべてインテル製にしてしまい、クアルコムを排除したのだった。

ただ、5G時代に向けて、インテルがちっとも5Gモデルチップを開発できないという問題にアップルは直面した。

自社で開発するのにも3~4年かかる。かといって、ファーウェイから5Gモデルチップを調達するというのは、中国メーカーを排除しようというトランプ政権の手前不可能に近い。

結局、アップルが折れた形で和解となったようだ。

ただ、クアルコムは2016年には5Gモデムチップを発表するなど、技術的特許的に他社を大きくリードしているのは明らかだった。2018年のMWCでは、様々な基地局ベンダーとの接続試験もすでに順調に進んでいることをアピール。

さらに、単に5Gに接続するだけでなく、3Gや4Gとの連携もきちんと稼働するという点はインテルにはできない芸当であった。

今回の和解によって、iPhone 5Gが現実味を帯びてきたことは業界的にも喜ばしいことだろう。当然のことながら、クアルコムにとってみれば大勝利だ。

ただ、5Gに対応するには、クアルコムのSnapdragonしか選択肢がないとなれば、5Gモデムチップの価格の高止まりにつながる可能性も高い。

そこで、気になるのが、ファーウェイの動向だ。ファーウェイのモデムをアップル以外のAndroidメーカーに開放していくのか。中国メーカーが、5Gモデムチップを安価に調達しようとファーウェイの門を叩くのか。

インテルが5Gモデルチップの開発を諦める中、ファーウェイがどのような戦略を獲っていくのか、気になるところだ。

image by: NTTドコモ - Home | Facebook

石川 温この著者の記事一覧

日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 石川温の「スマホ業界新聞」 』

【著者】 石川 温 【月額】 初月無料!月額550円(税込) 【発行周期】 毎月 第1土曜日・第2土曜日・第3土曜日・第4土曜日(年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • NTTドコモ「4割値下げ」に見えなくもない「苦肉の策」は損か得か
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け