編集後記
本件がニュースになり、注目されると、続々と情報を持つ生徒たち(付属機関の調査を拒否した子も多く含まれる)が、私が代表理事を務めるユース・ガーディアンの「本件に関する情報提供のお願い」を見て、情報を寄せてくれています。
中にはアンケートに詳しく書いたのに、なんでちゃんと調べてくれないの?という不満の声もありました。
保護者に関しても、学校が開いた保護者会の内容を聞いて、「嘘をついている」と感じたという感想も寄せられています。そして危機感を持っています。「明日は我が身なのかもしれない」「こんな学校、教育委員会に子どもの命は預けられない」という意見が大半です。
もちろん、その中には、こんな情報提供を求めるサイトは即刻削除せよ、という嫌がらせもあるわけですが、辿る限り、何らかの役員など学校の関係者と言える者から発信されたものでした(私が探偵であるということを知らないのでしょうか…)。
付属機関の委員についてはその専門性の中では実績のある方達だと思いますが、この事件についてはというより、この制度自体、私には全く理解ができません。
事件ごとに職能団体に推薦を求めたり、予定を合わせてもらったりの調整は大変だというのは理解できますが、だからと言って、重大事態に対して、いつもの常設委員さんでという論理は、問題軽視ではないかと思うのです。それに常設ということは、利害関係はバッチリあるように思うのです。本件では、教育委員会はいじめを否定しています。その次がその付属機関、まるで世間で言うところの第三者委員会と呼ばれて現れ、教育委員会とさして変わらぬ調査をしたわけです。事務局は教育委員会です。これでは、時間の無駄、行政予算の無駄使い、さらに委員の中には、他の地域行政で同様の委員をやっている兼任者もいます。
重大事態は少なくとも数百件は起きてしまいます。その全てではないにしろ、兼任もいるような委員会、ましてや教育委員会直下の付属機関で調べきれるわけがないと思うのは私だけでしょうか。
大津のいじめ事件を担当した委員はダンボール箱だけでも大変な量の資料があったと言います。それを読み込み、疑問点をチェックし、聞き取りをしたり、聞き取りできるように説得をするなど、大変な時間がかかったわけです。これ、件数にすれば1件ですから、本業を持ちつつ、同様に年間十数件やるだけでも、スーパーマンに近いと言えるわけです。
三権分立から考えて、日本の政治は経済経済と経済バカな話ばかりです。立法面で言っても、耳にするのは経済バカな話ばかり、あとは与野党の足の引っ張り合い…。右でも左でもどっちでもいいから前に進めろよ、と思ってしまうのですが、結果、子どもの問題は、ばらまき型の話ばかりで、命に直結するようないじめや虐待の話はほとんど前に進まないのです。
特にいじめの問題はいじめ防止対策推進法の改正について超党派の議員が試案を出しましたが、速攻で遺族からクレームがついているわけです。
仕方ありません。いじめを放置もしくは先導した教員処罰案は票田とも言える有権者が多くいる教育界を敵に回しかねないですからね。
…ふざけるなと思うわけですが、それを言うと、「阿部ちゃん、もっと大人になれよ」と言われるわけです。
本にもコラムにも書きましたが、「子どものいじめ問題は、大人社会の写し鏡です」。今のいじめを異常と思うならば、今の大人社会が異常なのです。
そして、今、名古屋で起きていることは異常以外のなにものでもありません。私は彼女の死自体に疑問を持っています。不審点が多すぎるのです。本件については、さらに取材を進め、真相を究明したいと思います。
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