「野湯」というのは、僕の中ではさらにワイルドなものです。「親谷の湯」や、北海道の「コタンの湯」などは「野湯」と呼べるかもしれませんが、やっぱりもっと人手がかかっていない、自然のまんまの温泉こそが「野湯」なのではないかと思っております。ただ、海辺の温泉野天風呂なんかだと、フナムシとの戦いがあるから、野湯と呼んでもいい気もします。
そう考えていくと、僕の中で「野湯」というものは、清潔感が乏しいもの、という印象があるわけで、これが、僕が野湯をあまり好きになれない理由です。もちろん清潔に管理されているけれども人工的でなく、野趣もたっぷりという野湯もたくさんあります。
もう一つ、僕個人の定義では、野湯というものは、自然湧出でないといけない気がします。自然に湧いているものに浸かる喜び、というのが野湯の醍醐味だと思います。むろん、基本は源泉かけ流しです。アツ過ぎる場合に川水を引き込んだりして調整するものは、加水があっても野湯かな、と。
本物の野湯は掃除をしていないので清潔とは言い難いですが、湯自体は極めてフレッシュで清潔です。これを持って良しとするかどうか、これは個人の好みで良いと思います。あくまで僕個人としては、ナメクジさんたちと一緒に入浴するのは苦手だな、ということです(でも、結局あれば入るんだけども)。
結論としては(あくまで僕自身の、という意味ですが)、広義の意味では露天風呂も野天風呂も野湯も同じもの、一方で、狭義の意味では、四方と天井のいずれかが塞がれていなければ「露天風呂」であり、その中でも天井が抜けていて、野趣があるのが「野天風呂」。さらに、人の手がかかっていない自然なままのお湯に浸かるお風呂が「野湯」、ということになります。
と個人的な定義づけをしましたが、やっぱりこれは個人の感覚的なものだと思うので、温泉談義をするときのネタにはオススメです。
僕の場合、湯原の砂湯は野湯、蓮華温泉の露天風呂群は全部野天風呂、尻焼温泉露天風呂は野湯、宝川温泉は野天風呂、箱根や湯河原の宿の大半は露天風呂で、黄金崎不老ふ死温泉の海岸の風呂は野天風呂と野湯の中間(波が高いと水没するので)、という感じです。
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