バレた年金「100年不安」。金融庁の報告書が白日の下に晒した真実

 

国民がそんな甘言を鵜呑みにせず、財布の紐を締めて節約につとめてきたために、長い消費不況を抜け出せないでいるのだが、誰も心の片隅では、国を信じたい気持ちがないわけではない

それを、「長生きしたいなら2,000万円自分でつくれ」と、大金持ちの副総理に上から目線で言われると、ちょっと待ってくれと言いたくなる。毎年のように年金保険料をあげられても黙って従ってきた国民を愚弄するのはいい加減にしてもらいたい

長期不況と貧富格差の拡大、少子化対策の無策。その責任を負うべきは誰なのか。どこに2,000万円のカネを蓄えたり、投資にあてる余裕があるというのか。それが、多くの国民の実感であろう。

報告書をめぐる報道にあわてふためいたのは安倍官邸だ。選挙が迫っているというのにまたしても年金問題の火の粉が降りかかってきた。一刻も早く払いのけねばならない。

菅官房長官が6月7日の記者会見で、「誤解や不安を招く表現であり、不適切だった」とさっそく釈明したのは危機感のあらわれだった。

12年前の参院選に敗れて退陣につながった「消えた年金」問題の悪夢がいまだに安倍首相を脅かしているのだろうか、6月10日の参議院決算委員会で久しぶりに答弁に立った安倍首相はなんと、年金への信頼がますます強固になっていると主張した。

蓮舫議員 「100年安心がウソだったと国民は怒っている」

 

安倍首相 「年金100年安心はウソではない。今年度においてはマクロ経済スライドも発動された。それでもなおかつ年金受給額は0.1%の増額改定となった。積立金も6年間で44兆円の運用益が出ており、公的年金への信頼性はより強固になったと考えている」

安倍首相がマクロ経済スライドなる用語を使いながら説明する「100年安心」とは何か。日本年金機構のサイトに以下の説明がある。

平成16年(2004年)の年金制度改正によって導入された、賃金・物価による改定率を調整して、緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みです。具体的には、賃金・物価による改定率がプラスの場合、当該改定率から、現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」を差し引くことによって、年金の給付水準を調整します。

これでは何のことかよく分からない。要するに、保険料を負担する現役の人たちが減り、受給する高齢者が増えるのに、賃金・物価の上昇に比例して受給額を上げるのではお金が足りなくなるので、実質的に受給額が下がっていくよう調整するということである。その制度改正が04年に行われた。

つまりこれは、年金制度を持続させるための仕組みである。

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