30万円以下の罰金も。会社が熟知しておくべき賃金支払いの5原則

 

L社部長「いやぁ~、『控除してはいけなかった社会保険料を控除してしまった。それって、労働基準法24条違反ですよね?』と言ってきたんですよ」

所長 「24条違反!?そんなことおっしゃってきたのですか?労基法24条というのは、『賃金支払いの5原則』が規定されている条文です」

L社部長「はい、私も調べてみました」

所長 「賃金支払の5原則のなかに、『全額払いの原則』というルールがあります。賃金は、必ず全額まとめて支払う必要があり、分割払い等はできないというルールです。ただし、法的な控除、つまり所得税や住民税などの税金や健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などの社会保険料などは賃金からの控除が認められます。また労働者の代表と労使協定を締結すれば、親睦旅行積立金や立替金などの法的控除以外のものも賃金から控除することができます」

L社部長「そうなんですよねー。でも、24条違反と言われてもねー」

所長 「当然ながら、社会保険料などの法的控除は賞与から控除して構いません。でも、今回は不要だった社会保険料を控除したということですから、確かに24条違反と言えなくはないですね」

L社部長「本人は、労働基準監督署に駆け込む勢いなんです」

所長 「でも、もう誤って控除した社会保険料はお返ししたんですよね?」

L社部長「そうです。発覚してすぐに謝罪文をつけて、お返ししました」

所長 「そうであれば、監督署に行くのを止められなくて、行ってしまったとしても、支払い済みですから、監督署から会社に是正のしようもないです。24条違反の罰則は、30万円以下の罰金刑です(労働基準法120条)が、これも有り得ないです。もしかしたら、確認のために電話の一本位はかかってくるかもしれませんが、お咎めはないでしょう。今後、気をつけていただくと良いです」

L社部長「そうですか、良かったです。それにしても、今回の件は驚きましたぁっ」

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