30万円以下の罰金も。会社が熟知しておくべき賃金支払いの5原則

 

所長 「そうですね。うちもこの件が24条違反にまで発展したご相談は初めてです。念のため、『賃金支払の5原則』、いったん整理してみましょうか」

L社部長「はい、お願いします」

所長 「まずは、『現物給与の禁止』です。給与は必ず通貨で支払われる必要があります。銀行振込が主流になっている時代に、労基法はいまだに給与は現金払いが原則です。ただし、口座振込同意の労使協定と、労働者個別の同意があれば銀行振込の扱いが可能です。これを知らずに銀行振込をしている事業所がありますが、労基法違反状態になっています」

L社部長「え?労使協定もいるんでしたっけ?」

所長 「はい、これは毎年自動更新とする条項を組み込んでおけば、一度協定を結ぶだけでずっと使えます。労使協定の存在を一度確認してみてください」

L社部長「わかりました」

所長 「また、労働組合がある場合は、労使協定を作成することによって、通勤手当を『通勤定期』で現物支給することが認められるという例外もあります」

L社部長「労働組合がないなら通勤定期の現物支給はできないってことですね」

所長 「はい、労働組合がない場合はそうなります。二つ目は、『直接払いの原則』です。給料は、必ず労働者本人に対して支払わねばなりません。ただし、労働者が病気などで給料を受け取れない場合、家族を『代理人』ではなく『使者』として、賃金を家族に支払うことは、直接払いの原則に反しないと考えられています。

三つ目は、『毎月1回以上支給の原則』です。給料は、必ず「1ヵ月に1回以上」支払わねばなりません。

四つ目は、『一定期日払いの原則』で、支給日を毎月25日や、毎月末日、毎週末、第2月曜日などと定める方法は認められます。ただし、第5金曜日などとすると、月によっては、第5金曜日がないこともありますので、こういった決め方はできません。

五つ目は、最初にお話した『全額払いの原則』です」

L社部長「へぇ~、いろいろあるんですね。『賃金支払の5原則』か、気をつけます」

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