「未知の職業」に就く若者にとって今の大学教育は適切なのか?

 

そもそも教養学部の解体が日本で進んだのは、大学側もっと言えば教授側(教える側)のエゴによるところが大きい。即ちこうである。かつての旧制高校が現在の教養学部に相当し、かつての帝国大学が現在の大学各学部に相当するなら当然、前者が下位で後者が上位である筈だ、といった馬鹿げた上下意識が残ってしまったために格下と見られがちな教養学部の教授たちがこれを不服に思ったからのことである。

結果、実際の社会のニーズとはかけ離れた大学編成となってしまったのである。その一方で大学側もリベラル・アーツの重要性を無視することはできないから、総合の前後に国際だの人間だの科学だのをくっ付けては、所謂教養学部(Liberal arts系学部またはArts and Sciences系学部)を新設しているという事実もある。

さて65%の話に戻る。よくよく考えれば医師や弁護士などの所謂師業や士業を除いてしまえば、残りのほとんどはこの65%に入ってしまうことになるのではないか。とすれば、大学入学時点で希望する職業が「(少なくても今現在の段階では)未知の職業」という学生が多数存在するということになる。
これを許容する社会は今とは比べものにならないくらいに寛容な社会である。改めて我々は、子供たちの将来に対して寛容であり続けることをここに誓わなければならないのである。

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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