なぜ若い人にも大腸がんが増えているのか?医師が警戒する新要因

 

若い人に大腸がんが増えている隠れた理由

教科書的な大腸がんの危険因子から推定しますと、高所得国での若年層で大腸がんが増えている主な理由は、肥満、加工肉食、飲酒、喫煙の増加、および食物繊維不足と運動不足が考えられます。特に、加工肉をたくさん食べる習慣を子供の頃から身に付けてしまうことは問題です。 高脂肪で低食物繊維の食事を短期間でも続けると、大腸粘膜に炎症と細胞の増殖をもたらすことがわかっています。大腸がんの前駆徴候であるこの病理現象は、ほんの2週間以内の高脂肪低繊維食でも起こることがわかっています。

しかし、大腸がんの研究者たちはもう一つの重大な要因がある、と考えるようになりました。というのは、高脂肪低繊維食はもともと多くの高所得国で当たり前の食習慣だったからです。若年層にこれだけ大腸がんが増えることをすべて食事だけでは説明困難なのです。

それでは、今疑われている、隠れた要因とは何か。それは、抗生物質の服用です。それも小児期での服用です。もともと大腸には腸内細菌が多数住み着いていますが、抗生物質の服用は、病気に関係している菌を殺すだけでなく、善玉菌をも叩いてしまいます。腸内細菌の変化は大腸がんを起こす引き金となることがわかってきました。

今後の研究によって、この因果関係を評価することが必要です。しかしながら、今我々にできること、すべきこと、があります。それは、必要な抗生物質はもちろん内服すべきと考えますが、不必要な抗生物質の服用は減らすべきです。薬剤耐性菌の蔓延を減らすことにもなります。そして将来の大腸がん発生を減らすことにもつながる可能性があるからです。

文献:Araghi M, et al. Changes in colorectal cancer incidence in seven high-income countries: a population-based study. Lancet Gastroenterology Hepatology. 2019 May 16.

image by: Shutterstock.com

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