新戦略の陰に敏腕マーケターあり。丸亀製麺に学ぶ生き残り戦術

 

丸亀製麺は私も好きで、メニューも多くの中から選べるので楽しいし、よく行きます。特に、あのつるっとした喉ごしのいい麺が美味しいですよね。なんでもこの麺は、店内で製麺しているそうです。どこかの工場で生産したものを運んでくるのではないため、作りたての新鮮さがあってシコシコと美味しいのでしょう。 これは、明らかな強みですし、他社と違う差別化ポイントですよね。しかし、市場調査をしてみたら、「自社の強みである店内製麺を知っている人が、半数にも満たなかった」というようなデータが出たそうです。

森岡氏は、USJ時代にも、「予算を使わずに、テコ入れをせよ!」との司令を受け、必死で考えたそうです。そんな中、普通やりがちな「閑散期をどう伸ばすのか?」という考えではなく、「もっと伸び代がある時期はないのか?」と考え、予算がない中ハロウィンに目をつけたそうです。来店者数やどんな人が来るのかという、数字を分析した上で新しい手を打ち出しヒットさせたのです。

USJの入場価格なども綿密な計算や、統計的な手法で割り出して、値上げなどをしても、来場者が減らないどころか増えさせた実績も、数学マーケティングの賜物です。その点を見込んで今回トリドールは、森岡氏と協業したいということになったのでしょう。

外食産業はなぜ消費財出身のマーケターを重用するのか?

このような動きは外食産業にも多くみられるようです。世の中の動きが「マーケティングの重要さ」に、つながってきているのを感じ、マーケターの私としては、なんだかとても嬉しく思います。 500円ランチを手がけたケンタッキーフライドチキンの中嶋氏、すかいらーくのアプリなどのデジタル化を手がけた和田氏、日本マクドナルドで女性や子供のメニューを手がけたズナイデン氏も、「消費財出身」のマーケターです。 どこも、業績を回復させましたが、共通しているのは、日経新聞にもあった通り、「待ちの姿勢から攻めの姿勢」に転換することを目的としたことです。

マーケティングは広告を作ったり、Webをカッコよくしたしするだけではありません。そういった表面のことにとどまらず、収益を上げるための計画を作り、達成できるように各部署と連携しながら実践し、成果につなげるという幅広い業務になります。サッカーで言えば、司令塔的な役割ですよね。

外食産業は競争も激しく、ともすれば価格競争になりがちな業界だと言えます。その中でいかにお客様に選んでもらえるのか、ということを考えないと生き残ることが難しい業界だといえます。 その意味でも、しっかり市場を分析し、お客様が誰かを見つけ出して、そこに自社だけのメニューをあて、どうやって知ってもらいきてもらい、ファンになってもらうかを考えていくという、マーケターの役割が外食産業でも浸透してきたと言えます。

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