伸び悩んでいる企業が確認したい、社員への「当たり前」の浸透度

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ビジネスにおいて「成功を掴む方法」となると、斬新なアイデアや競合との差別化といったことばかり考えがちですが、もっと大切なことを忘れていないでしょうか。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では著者で飲食店コンサルタントの中西敏弘さんが、「当たり前を当たり前にやる」がいかに好業績につながるか、逆い出来ないとどのような状況に陥るかについて、具体的事例を挙げながら解説しています。

「当たり前を当たり前にやること」の大切さと難しさ

毎月月初、僕のご支援先では前月の売上分析を行いながら、店の問題点を出したり、今後の方向性を検討したりすることに時間を割いています。各社で様々な問題が出るのですが、今月は興味深いことがたくさんありました。

ある会社のA店は、数か月前から店長が変わり、ここ数カ月で基本業務の見直しと徹底を行いました。その結果、先月は今年一番の売上となったともに、前年比も大幅にクリアするという素晴らしい成果を生みました。

この結果を踏まえ、何が功を奏したのか、会社の幹部さんと打ち合わせを行ったのですが、何か特別な事をやったわけでなくただ真面目に基本業務を徹底したことだと結論付けました。

B社のある店の店長も数か月前に店長になったばかりでしたが、先月は、昨年の同月よりも売上が100万円もアップするという成果をもたらしました。

何を行ったのか、計数分析会議で報告してもらったところ、前任、前々任の店長は、週末等忙しい日に、その店は、営業開始時と同時にたくさんのお客様が来店する可能性があるにも関わらず、開店準備が間に合わず、また、仕込みが疎かな日が多かったようですが、現店長は、開店の時間もしっかり守り仕込みも規定数を守る事そして店長がホールで必死にお客様応対を行うことで、その店の過去最高売上を先月記録することができたようです。ちなみに、その店は、開店後すでに、5年以上経過しています。

この店長も何か特別な事を行ったわけではなく、極々当たり前のことを必死に毎日取り組んだことが成果につながったようでした。

C社のある店舗は、ここ半年ぐらい原価率特にフード原価率が高く、毎月何が原因なのか話し合っていたのですが、結局、問題が分からず、これといった解決策を導き出すことができませんでした。

しかし、今回のミーティングにおいて、ひとつの問題が分かりました。

この会社では、原価率も毎日管理していますし、在庫もしっかりと管理するよう、売上に応じて適正在庫表も作成しています。ところが、先日、マネージャーが店舗に入った時に、“妙な光景”を見たそうです。

それは、発注の際に、通常は冷蔵庫、冷凍庫の在庫量を確認し、適正在庫と照らし合わせて足りない分を発注するのですが、その日はあるスタッフが、カウンターの椅子に座りながらスマホで発注をしていたそうです(ここの店では、発注業務はすべてスマホから行うことができます)。

仮に、在庫量も適正在庫もすべて把握した上で、その業務をしていたらいいのですが、彼がそんなスーパーマンなわけはなく、このような発注が毎日のように行われていたようです。こんな状態で適正発注ができるはずがなくこれが原価率が高くなっている一つの要因ではないかという結論になり、即刻、日々の発注のやり方を再徹底させるようにしました。

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