日本政府は、韓国に輸出した製品が北朝鮮に流れているという。「徴用工問題の報復で輸出規制」というのは、名目上よくない。では、「韓国に輸出したものが北に流れている。だから輸出を厳格化するのだ」これはどうでしょうか?
これなら ◎ ◎ ◎ ですね。これなら、国際社会もWTOも大納得です。ちなみに韓国、北朝鮮に流した件は認めていませんが、「他の国々に流れた事実」は認めています。
韓国、戦略物資の違法輸出156件「北に流出の証拠なし」
読売新聞オンライン 7/11(木)11:40配信
【ソウル=岡部雄二郎】韓国の産業通商資源省は10日、軍事転用が可能な戦略物資を違法に国外輸出したとして摘発された業者の事例が、2015年~19年3月に計156件に上ったと発表した。産業通商資源省が韓国の野党議員に開示した資料によると、この中には、イランやシリアなど、北朝鮮と関係の深い国に輸出されたケースも含まれていた。資料によると、イランには2017年12月と19年1月、サリンの原料にもなるフッ化ナトリウムなどが輸出された。シリアには18年3月、生物・化学兵器の実験などの際に外部の汚染を防ぐための設備「生物安全キャビネット」が輸出されていた。
輸出規制の口実としては、これで十分ですね。だから日本は、WTOでは、「日本が輸出した戦略物資が、韓国からイラン、シリアに流れている。だから輸出制限するのだ!!!このことは、韓国自身も認めている!」と大声で、堂々というべきなのです。特に「韓国自身も認めている」という部分。資料もきっちり英訳して配布しないとダメでしょう。
で、日本政府は、これやってるの?ということなのです。こちらをごらんください。
日本の経済産業省関係者は12日、東京都千代田区の経済産業省別館で開かれた韓日課長級会議の後、日本がこの間輸出規制の理由として挙げてきた「不適切な事例発生」について「第3国への搬出ではないと(韓国側に)伝えた」と話した。この関係者は「一部(日本のマスコミ)で第3国搬出などが報道されたが、あくまで日韓貿易と関連した不適切な事案だと伝えた」とも話した。
(the hankyoreh 7月15日)
おい!なんじゃこりゃ!ですね。輸出規制の理由は、「第3国への搬出ではない」と日本側がいっている。で、「日韓貿易に関連した不適切な事案」が原因だと。しかし、「日韓貿易に関連した不適切な事案」が「何か?」は、よくわかんないんですね。
皆さん、「日本は韓国に圧勝だぜ!」と思っていませんか?普通に考えればそうでしょう。しかし、日本政府の稚拙な説明のせいで、また国際的に日本が【巨悪】になる可能性がある。日本は、WTOで、「なぜ輸出規制をしたのか?」説得力のある説明をできない状態なのです。これが、【 戦術的問題 】です。
どうすればいいのでしょうか?簡単なことで、韓国政府が出したリストをWTOで提示して、「戦略物資が、韓国を経由してイラン、シリアに流れている!だから輸出規制は正当だ!」と大声で主張する。政治家の読者さんがいたら、必ず首相にお伝えください。とても大切なことです。
これ、トランプさんは、イランと対決しているので、全面的に支持してくれるでしょう。日本はひょっとしたら、友好国イランに忖度しているのかもしれません。そういうことは、「戦いをはじめる前」に考えるべきでしょう。今は、イランとの仲が悪化しても、WTOで、全世界が納得する説明をすることがもっとも大事です。でないと、WTOで負けますよ。負けて、日本国民は激怒。「そんなWTOなんていらない。脱退してやる!」となれば?「満州国問題」で激怒して、国際連盟を脱退した時代に逆戻り。また「敗戦道」一直線ですね。
この問題については、『日本よ、情報戦はこう戦え!』の著者・山岡鉄秀先生に相談するべきです。相談するだけでなく、今回の情報戦を率いてもらうべきでしょう。
日本は、とにかく情報戦に弱いのです。日本国民は、今回の措置をおおいに歓迎してお祭り騒ぎですが、「負ける可能性もある」ことも考えながら戦わないといけないです。