韓国の止まらぬ日本バッシングもアメリカが仲裁に二の足を踏む訳

tsuda20190722
 

もはや泥仕合の様相を呈し、まったくと言っていいほど解決の糸口が見えてこない日韓関係。18日には韓国大統領府が日韓軍事情報包括保護協定の見直しを示唆するなど、事態は混迷を極めています。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者の津田慶治さんが、米国の仲裁を含めた日韓両国間の今後について分析・考察しています。

世界経済の大混乱に向かって進む

米中通商戦争は、米中ともにプライドで立ち往生、米国とイランも交渉もできずに立ち往生、日本と韓国も交渉できずに立ち往生、ドイツ銀行も立ち往生となり、暗雲が世界的に立ち込めてきた。今後を検討しよう。

日米株価

NYダウは、2018年10月3日26,951ドルで、12月26日21,712ドルと暴落したが、利下げ期待で、7月16日27,398ドルと最高値を更新して、7月19日でも27,154ドルと水準が高いが下落した。

日経平均株価も、同様に2018年10月2日24,448円になり、12月26日18,948円と暴落し、米国で7月利下げ確実で107円台と、米中通商交渉がうまくいっていないこと、安川電機とキャノンの利益が大幅に減少したなどを受けて、7月18日422円安で21,046円に、しかし、7月19日に一転して420円高の21,466円と戻した

参議院選挙が迫っているので、日銀、GPIFなどの大量買いが入ったように感じる。2兆円割れで売買が少ない中での買いであり絶大な効果があった。このため、参議院選挙後が心配になっている。円の通貨価値も国債の大量発行で下がっている。コストプッシュの悪いインフレが食料を中心にじわじわ押し寄せている。食料品ではインフレ率が4%にもなるという評論家もいる

米国は、過去最高の株高でも金利が低いと7月のFOMCで0.5%か0.25%の利下げがほぼ確実になっている。7月19日下落したのは、0.25%利下げの見方が出たためである。通貨ジャブジャブの金融相場に逆戻りして、バブル株価を謳歌している。そして、米中通商交渉もうまくいっていないことで、トランプ大統領は、残りの3,000億ドル分にも25%関税UPを言い始めている。この貿易戦争も利下げの理由になっている。何でも理由にして利下げを行うようである。景気好調でも予防的な利下げと、NY連銀ウィリアムズ総裁は言う。

関税戦争と金融戦争の結果

しかし、関税UPをしてから1年以上も経つが、米国の貿易赤字は減らずむしろ増えている。ドル高で輸出ができないとトランプ大統領は考えているようで、FRBに強引に金利を下げさせるために、財務省は短期国債を売り、その分を10年国債を買い、金利を下げているようだ。

米国の関税UPで、相手国も対抗関税UPをしているので米国製品は世界的に売れないことになって輸出ができないが、トランプ大統領は、そう考えていないようで益々関税UPを行う方向である。

トランプ大統領は世界経済秩序を壊して世界経済を混乱に導いている

この混乱を避けるべく、中国とロシアは大量の10年米国債を売っているので、米国債金利が上がるはずが、下がっている。この下がっている米国債2%の金利に誘われて、日本の地方銀行や日本の投資家を中心に買い支えている

CLO債権も日本の地方銀行を中心に大量に買っている。日本に貸出先がなく、日本国債の10年物金利はマイナスなので、米国市場に押し寄せている。そして、トランプ大統領がこのようなことを安倍首相に依頼した可能性も否定できない。今年急に、そのようなことが起きている。

しかし、CLO債権は、ジャンク債の集合体であり、景気が悪くなると、流動性がなくなる。価格も暴落することが確実であり、そのような債権を大量保有する地方銀行やゆうちょ銀行の倒産が将来起きることになると米国の証券アナリストから心配されている。

日本企業の業績は、中国景気が大幅ダウンで輸出が減って、製造業を中心に大きく減益になってきた。安川電機とキャノンの業績が証明した。ということで、景気下降のトレンドが見えてきている。ドイツ経済も景気後退になり、ドイツ銀行の業績が思わしくなく、業務縮小を行い、政府の援助を受けて立て直しを行うようであるが、預かり資金の流出が止まらない。

米国経済は、製造業と運輸業が下降しているが、それ以外の業種の景気は、まだ好調のようである。このため、NY株価だけが高い状況になり、世界からNY株式市場に投資が集まることになっている

仮想通貨「リブラ」

しかし、米国の企業も家庭も2007年時点より借金漬けになってしまい、ドル通貨の発行量が多く、通貨価値が下がっているので、FBの仮想通貨リブラに注目が集まっている。FBの登録者数37億人が利用すると、金利ゼロの銀行の価値がなくなり、大きくなると国家通貨の意味もなくなる可能性が出てくるしドル基軸通貨制度も崩壊するので、IMFや米国政府などG7諸国の財務省と中央銀行は、慌てている。

中央銀行の意味もなくなる。FBが世界の中央銀行となる日がくるかもしれないのである。強烈なインパクトを金融業界に与えることになる。「リブラ」に金利を付けても、個人の買い物情報が集まり、個人情報を収集できるので、企業にその情報を売り収益を確保できる。この収益で金利が払え、金利分ドルより有利になる。インフレ時に有効な通貨となる可能性がある。

このため、金融業界はリストラの嵐になっている。今後、金融業界では、ITやAIのエンジニアしか必要ない。というように、金融業界でも大きなパラダイムシフトが起ころうと、ヘッジファンド覇者のレイ・ダリオ氏が、述べている。

レイ・ダリオ氏は、今の状況は1930年代と同じような状況になってきて、債務危機がその内、ミンスキー・モーメントまで行き、その残された時間はほとんどないだろうという。

ウォーレン・バフェット氏も、現金ポジションを増やして、暴落時に株を買い占める準備が整ったようである。今は現金で持っていることの方が株で持つより良いという。バフェット氏もミンスキー・モーメントがすぐ近いと見ている証拠である。

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