味もメニューも外観も普通なのに古い中華料理店が潰れない理由

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わざわざ遠くから客が押し寄せる行列店がある一方で、「なぜ、この店は潰れないのか?」と誰もが訝る店も存在します。繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、独身時代に立ち寄っていた中華料理店、いわゆる「町中華」もそのひとつと言います。そんな佐藤さんは今回、自身のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』で、味も普通、変わり種もイチオシメニューもなく、外観も内装も特徴のないそのお店が潰れない「5つの理由」を記しています。

住宅街の古ぼけた中華料理店が潰れない「5つの理由」

「なぜ、このお店は潰れないのか?」と、誰もが不思議に思うお店はたくさん存在します。私が独身時代に、たまに寄っていた中華料理店もそのひとつ。外観には特徴も無く、汚くはないものの古ぼけた感じで、“わざわざ行くようなお店ではありません。マズくはない程度で、特に美味しいわけでもなく、いち押しメニューも無し。変わったメニューも無し。しかし、夜はお客さまが結構入っていて、長年営業を続けていました。

このお店が潰れない理由は「5つ」あるのではないか、と私は推察します。1つめは、場所駅から住宅街に入るまでの中間にあり、仕事帰りの独身が寄りやすい場所にありました。「もうすぐ家」という“ホッとする位置”で、食べた後すぐに帰ることができる、という安心感があったのではないでしょうか。

2つめは、ライバルの存在。お店のまわりをはじめ、駅周辺にも中華のお店はありませんでした。ライバルがいなければ、中華が食べたい時には、このお店を利用することになります。

3つめは、特徴の無いごく普通の味。すごく美味しい料理は、印象には残りますが、毎日食べると飽きてしまいます。しかし、このお店の料理にはまったく特徴がありません。まるで、家庭料理のような味のレベル。さりとて、家庭料理を毎日食べているからといって、飽きるようなことはありません。食べていて、「安心できる味」とでも言うのでしょうか。飽きないから、毎日でも立ち寄ることができるのです。

4つめは、テレビ。古い飲食店ならよく見掛ける光景ですが、テレビがあって、野球中継がよく流れていました。独身の中年男性がビールと餃子を頼んで、テレビを見ながら、しばしホッとする時間を過ごすのです。ビールが無くなると、ご飯と一品もしくは炒飯を頼んで、夕食とします。このパターンは、かなり多く見掛けました。

5つめは、漫画本。汚れてきてはいるものの、かなり多くの漫画本が揃っていました。こちらは、若い男性がよく読んでいました。ご飯を食べながら、漫画を読む。1冊読み終えると、帰って行く。また次の日、続きを読みに来る。1冊読むと、続きを読みたくなるのでしばらくはお店に通うことになります。

このように、男性ばかりではありますが、“つい足が向いてしまう”お店なのです。男たちにとって、ここはダイニングのような存在です。自宅の居間でくつろぐ前に、台所横のテーブルで食事をしているようなもの。家に帰ったような安心感があり、ホッとできる場所なのです。このお店は、そんな“時間”を提供しているのです。“時間”が、このお店の売りになっているのです。

ここに、潰れない理由があるのではないでしょうか。

image by: slyellow / Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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