実は日本も似たような問題を抱えている
この韓国の最低賃金引上げ政策の失敗を見て、「日本も賃金を引き上げれば経済が悪化する」などと吹聴する人もいます。が、これは大きな間違いです。韓国が失敗したのは、「賃金引上げ政策」ではなく、「最低賃金引上げ政策」です。韓国の経済事情から見て、「最低賃金の引き上げ」は無理があったから失敗したのです。
韓国ほどではありませんが、日本の場合も、国の収益が大企業に集中しています。だから、最低賃金だけを引き上げても、中小企業を苦しめるだけに終わるでしょう。大企業の収益を中小企業の賃金引き上げに結び付けなくては、最低賃金だけを引き上げても意味はないのです。
また、このメルマガでも何度かご紹介していますが、日本の場合、この20年で10%も賃金が下がっています。先進国のほとんどがこの20年で賃金が50%以上も上がっていることを見れば、異常事態だといえます。
これは大企業が賃金抑制をしてきたことが最大の要因です。だから日本の場合は、まず大企業の賃金を大幅に引き上げて、国内全体の賃上げの流れをつくることが必要なのです。大企業の賃上げが行われれば、内需は拡大し、それは中小企業の収益増加にもつながるから
です。
とにもかくにも、日韓は国内に深刻な経済問題を抱えており、それは自国できちんと解決していなければならないはずです。外国へ敵対心を煽ることで、国民の不満をそらすなどもってのほかといえます。が、こういう政策は、古今東西、いろんな国が採ってきたものです。そして、こういう政策のために、戦争となったケースも少なからずあるのです。日韓の指導者には、くれぐれもそのことを肝に銘じてもらいたいものです。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)
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※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年8月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
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