飲食店などで「少々お待ちください」と言われたものの、少々どころではない時間待たされる…。それではお客さんが離れていっても当然ですよね。飲食店経営で大事にしたい「接客用語のもつ本来の意味」とはなんなのでしょう。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では著者で飲食店コンサルタントの中西敏弘さんが、忙しい店にありがちな、飲食店スタッフの「ことば」に焦点を当て経営のポイントを解説しています。
「少々お待ちください」を自分たち都合で使用していないか?
僕 「すいません」
スタッフ 「少々お待ちくださいませ」
こんなやりとりは、どこの飲食店でも頻繁にあるやりとりであり、普段は何も気にならないのですが、先日このやりとりですごく気になることがありました。というのは、このスタッフ「少々お待ちくださいませ」と言いながら、なかなか僕の元に来ようとしないのです。
こっちは用事があってスタッフを呼んでいるのに、スタッフは、僕の用事よりも他の仕事を優先(どう考えても僕の方が優先でしょうという仕事をしていて、本当に切れそうになった)して、その姿を見た僕は、再度、「すいません」と大きな声で呼ぶ羽目になりました。
でも、スタッフは、またまた「少々お待ちくださいませ」という一言を発し、また、違う仕事を優先していました。呆れた僕は、違うスタッフに声をかけ、僕の用事を頼むことになりました。
たまたま入ったこのお店は、その地域ではすごい繁盛店のようで当日も僕たちは30分ぐらい待つことになるほどのお店でした。また、店内に入ると、接客をすごく大切にしているということで、頑張っているスタッフをみたら投票して欲しいというような取り組みをされていて、「いいお店だな」という印象を最初は持ちました。
しかし、上記スタッフの対応で僕の印象は180度変わってしまい、すべてに対して不信感を持ち、結局、その店は足早に退散することになりました。
なぜ、こんな流行っているお店なのに、こんな対応をするスタッフがいるんだろううと考えると、ひとつは、「言葉の意味」をきちんと伝えていないんだろうなあ、と。
「少々お待ちください」というのは、本来すぐに駆け付けたいのだけれど、すぐには行けないので、本当に申し訳ありませんが、少しの間お待ちいただけますか?という気持ちを込めて発するべきことばであり、「少々お待ちください」と言えば、「お客様が許してくれる、お客様を待てせていい」という意味の言葉ではありませんよね?
でも、このことば、接客用語の「意味」をきちんと理解させて使用させないと、「今、自分たちは忙しいんだから、ちょっとくぐらい、待っとけ!」と思っているような態度をとるようになり、お客様を不愉快にさせることになるでしょう。
あとは、このお店は、タッチパネルを活用されていました。すべての用事が、基本はタッチパネルで頼むことができ、お客様にスタッフが呼ばれるということが少ないというのも、こういったことを引き起こす一つの要因かもしれません。
今回この記事を書いたのは、僕が体験した嫌な事を皆さんに伝えたいということが主旨ではありません。そういえば、最近「少々お待ちくださいませ」と言わないお店や、あるいは、「少々お待ちください」と言うことは言うが、お客様を待たせていても平気な店が、最近、多いなあと感じたからです。
「いらっしゃいませ」から始まる接客用語。普段何気なく使う接客用語も、ただ、使用するだけでなく、意味を伝えることが大切であるということ。そして、スタッフは一生懸命やっているつもりでも、実は「お客様を待たせている」ことは結構多いかもしれない。
この2点を皆さんのお店でも、見直していただければなあという思いで、今回この記事を書いてみました。いつもいうことですが、こんな基本的なことできているよと思わず、「当たり前を当たり前のように徹底できる」店こそ、本当に繁盛店になれます!
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