北大教授をダマして拘束。中国共産党の卑怯極まる人質外交

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北京を訪れていた北海道大学の教授が9月上旬、中国当局に拘束されるという事件が発生しました。なぜ中国政府系機関の「招聘」を受け訪中していた北大教授が、このような「理不尽な扱い」を受けることになってしまったのでしょうか。台湾出身の評論家・黄文雄さんはメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、その理由に中国が堂々と繰り広げる「人質外交」を挙げ批判するとともに、訪中の招待が「罠」ということが多々あるとして、日本人に警戒を呼びかけています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年10月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】訪中要請という罠にはまりスパイ容疑で逮捕される日本人

北海道大学の教授が中国当局に拘束。反スパイ法や刑法違反に問われている可能性も

中国で日本人がまた拘束されました。習近平体制は、2015年に「反スパイ法」を制定してから、堂々と「人質外交」を繰り広げるようになりました。記憶に新しいのは、アメリカに頼まれたカナダが、中国のファーウェイのナンバー2である孟晩舟を逮捕したことを受けて、在中国のカナダ人2人がスパイ容疑で逮捕された事件でしょう。

日本人も2015年以降13人が拘束されており、そのうち4人は無罪放免、9人は起訴され、8人が判決を受けました。判決を受けた人の中には、懲役12年の刑を受けた人もいます。それに加えて、今回の北海道大学の40代男性教授の「スパイ容疑」による拘束です。

中国では、2015年に「反スパイ法」が施行されてから、「12339」の通報電話が正式に開通しました。報道によれば、通報の報奨金は17万~850万円だそうです。報奨金のおかげで、北京のスパイ通報件数は年間5,000件だそうです。「反スパイ法」は、「境外人士」を対象にしたものであるため、外国人の他に、中国の特別行政区である香港および澳門マカオ)、さらには海外に居住する華僑や中国国民が通報の対象となります。では、具体的にどのようなケースが通報されるのでしょうか。以下報道を引用します。

タクシー運転手の“王某”は仕事中に数名の外国人が得体のしれない装置を携帯して“軍事禁区(軍関連の立ち入り禁止区域)”付近に長い間留まっているのを発見し、「12339」へ電話を入れて国家安全機関に状況を通報した。国家安全機関が深く調査した結果、この数名の外国人は国外情報機関を背景に持ち、地下探査設備を用いて我が軍の重要秘密を調べようとしていたことが判明した。このため、王某には報奨金が支払われた。

北京のスパイ通報件数は1年間で5,000件

この事例は、北京紙『新京報』のウェブサイト『新京報網(ネット)』を翻訳したものだそうです。

習近平政権は、中国人はデジタル監視社会で監視して、デジタル機器では対応しきれない外国人および境外人士は電話での通報を奨励して監視するというわけです。どこまでも人間不信の上に成り立った制度、体制、法律です。さらに、この「反スパイ法」というのは実に曖昧なもので、いくらでも恣意的に使えます。在中国カナダ人2人が逮捕されたのは、ファーウェイのナンバー2逮捕の報復だと言われるのも、そのためです。

さて、今回の北海道大学教授の件ですが、嫌疑はスパイ容疑ですが、具体的な内容な明らかにされていません。経歴が拘束のきっかけではないかとの報道もあります。

報道によれば、「教授は中国政治が専門で、3年前に北大教授に就く前には防衛省防衛研究所や外務省に勤務した経験がある。準公務員の国立大教授の拘束は初めてとみられ、教授を知る中国関係の研究者は『中国共産党に批判的ではなかったので拘束は意外だ』としつつ、『経歴からして日本の防衛省や外務省に近い人物として中国当局にマークされていたのかもしれない』と推察した」とのことですから。

北大教授拘束、長期化か 防衛研究所の勤務歴 中国が警戒?

しかも、「北京にある中国政府系シンクタンクの中国社会科学院の招きで訪中し、9月上旬に同院が手配した北京市内のホテルで拘束された」とのことです。さらに、「中国当局が当初から拘束目的で招聘(しょうへい)したとの見方も浮上している」、とこのと。

中国政府系機関が北大教授を招聘 拘束は手配のホテルで

中国政府は、この件について拘束の事実を認めたものの、日本側に配慮して拘束を解く気配はありません。教授の訪中の目的が学会交流であったことから、今後の研究者の動きにも影響を与えることが予想されます。研究者の中には訪中を敬遠する人が出るかもしれません。身に覚えのないことで拘束されたくはありませんから。

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