ルールという言葉は、子どもたちを束縛するものという印象があります。しかし、大人が決めたルールであるという「言い訳」は、さまざまな場面で効果を発揮するというのも事実のようです。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師の松尾英明さんが、ルールや規則を「子どもを守るための言い訳」として機能させるという重要な視点を紹介しています。
子どもに「言い訳」を与える
親と教師の仕事の一つ。それは、子どもに「言い訳」を与えてあげることである。
どういうことか。
以前に何度も本や記事で書いたが、例えば鬼ごっこで、氷鬼を行う時。高学年で男女が混ざるようにするには、一工夫が必要である。だから「男子を助けた女子を賞賛する(逆も)」ということを教師が行う。それでも効かない場合は「男子しか女子を助けられない(逆も)」というルールを作る。
こうされると、子どもたちは、そうせざるを得なくなる。「先生が言ってるから、仕方ない」という理由で、男女が混ざる。実は、普通にそうやって交流したいような子どもたちも、周りを意識してできないのである。そこに、言い訳を与える。
今の子どもたちは、SNSでつながっていて、途中で話題を切れない。「もうこの辺で寝よう」というと「付き合いの悪い奴」ということになる(面倒な酔っ払いオヤジみたいな世界である)。あるいは「既読スルー」への報復が怖いのである。寝不足や生活習慣の乱れの原因の一つである。
ここに、親が言い訳を与える。「夜9時にはスマホを親に預ける」というルールを作る(あるいは、そういうルールがあるということを友人に伝えておく)。それだけで、もう「仕方ない」ということになる。言い訳を与えることで、子どもを守れる。
こういうことはたくさんある。親や教師は、子どもの人間関係にとっての「助かる言い訳」になれる。その辺りを意識することである。何でも子どもの自由にするのが、子どもにとって助かるという訳でもないということである。
「人のせいにしない」は基本だが、こういったことは例外。子どもを守るための言い訳という視点も、親や教師にとっては、大切である。
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