改正電気通信事業法の影響で、キャリアショップから挙がる悲鳴の声
今週、福岡で複数の販売代理店関係者に話を聞く機会を得た。10月の改正電気通信事業法により、一定の機種変更需要はあるものの、販売台数は大きく落ち込むなど、悲鳴が上がっている状態だという。9月までは駆け込み需要もあったが10月以降は特にひどく「流動性が落ちている」(代理店関係者)とのことだった。いまのところ、当然ながら「解除料1000円」「2年縛りの見直し」の効果は全く出ていない。
3キャリアのなかでもドコモショップが悲惨だという声もあった。6月の新料金プラン以降、低迷が続いているのだという。
そんななか、改正電気通信事業法とは別に販売代理店関係者が惨状を訴えていたのが、ショップ店員の求人に人が集まらないということだった。どうやら学生には「キャリアショップの仕事は相当きつい」というイメージがついてしまっているようで、求人をかけてもさっぱり人が集まらないということだった。
販売代理店関係者は、「応募者が増えるようにするにはどうしたら良いか分からない」とぼやくしかないようだ。
確かに、ここ最近も改正電気通信事業法の施行によって、販売方法やプログラムの名称が一ヶ月で変わったりと、ショップで働く人達には相当な負荷がかかっているように思う。
そもそも、自社の料金プランや端末の仕様、付加サービスなどを覚えるのは当然のことだし、さらにはスマホ購入者からは「LINEやFacebookの設定を教えて」と聞かれれば答えなくてはならないこともある。
平日の昼間となると、年齢層高めの人たちが毎日のように訪れ、質問してくるという。まさに茶飲み場と化した病院のような有様だ。そうした人の相手をしても、代理店にとって1円の収入にもならない。若いショップ店員さんとしても、年齢層高めの人の接客は難易度が高く、結局、辞めていってしまう人が多いという。
今後もスマホを新たに購入する人が減少し、さらに働き手も減ってしまうとなると、代理店としてもキャリアショップの維持が難しくなってくる。キャリアショップは、キャリアにとってみれば重要な顧客接点であり、一方、ユーザーにとってみても、最新のIT機器に触れ、接客を受け、納得して購入できる数少ない場所である。今後、地方などでキャリアショップが淘汰されていくようなことになれば、地方でのIT活用が滞ることになる。
総務省の有識者会議では、キャリアショップでのチラシやポスターなどの広告表記のルール作りに躍起になっているが、そんなことよりも代理店がキャリアショップを維持できるよう、キャリアと販売代理店の力関係を調査したり、改善できるような手を打つほうが重要ではないか。
総務省は5Gで地方創生をさせるために5G盤整備率を重視しているが、地方のキャリアショップを延命させないことには、地方の5G活性化にはつながらない。総務省は、キャリアショップの惨状にもっと耳を傾けるべきだろう。
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