改憲より「サクラ逃れ」を選ぶ安倍首相が打つ解散選挙の大バクチ

2019.12.05
 

でも、皆さん、覚えていますか?3カ月前の9月11日に現在の「第4次安倍第2次改造内閣が発足した時、安倍首相が会見で何と言ったのかを。覚えていない人も多いと思いますので、改めて紹介します。

この新しい体制のもとで、憲法改正に向けた議論を力強く推進して行きます。令和の時代にふさわしい憲法改正原案の策定に向かって、自民党は今後、衆参両院の憲法審査会において強いリーダーシップを発揮して行きます。

そして、ちょうど200回目を迎えた今の臨時国会が招集された10月4日には、安倍首相は所信表明演説の最後を次の言葉で締めくくりました。

今を生きる私たちは、令和の新しい時代、その先の未来を見据えながら、この国の目指す形、その理想をしっかりと掲げるべき時です。現状に甘んずることなく、未来を見据えながら、教育、働き方、社会保障、我が国の社会システム全般を改革して行く。令和の時代の新しい国創りを、皆さん、共に進めて行こうではありませんか。その道しるべは、憲法です。令和の時代に、日本がどのような国を目指すのか。その理想を議論すべき場こそ、憲法審査会ではないでしょうか。私たち国会議員が200回に及ぶその歴史の上に、しっかりと議論して行く。皆さん、国民への責任を果たそうではありませんか。

安倍首相は、今国会の最重要課題として、最悪の売国政策である「日米貿易協定承認案」を挙げましたが、こんなものは表向きのポーズに過ぎません。何故なら、これまでの数々の悪法と同様に、ダラダラと審議時間だけを稼いだ後に、自・公・維新による数の暴力で強行採決することが最初から決まっているからです。安倍首相にとっての本当の最重要課題とは、念願の憲法改正」なのです。もちろん、今国会で憲法を改正することは不可能ですが、これまでずっと停滞していた「憲法改正」を一歩でも前へ進めること、それが今国会の最重要課題だったのです。

安倍首相は「憲法改正」を一歩でも前へ進めるために、今国会での国民投票法改正案の成立を目論んでいました。現在の「国民投票法」を、さらに改憲派が有利になるようにする卑劣なルール変更」です。しかし、今国会の招集とともに発生した「大学受験の英語民間試験化問題」と、それに続く萩生田光一文科相の「身の丈発言」、そして、政治資金規制法違反による菅原一秀経産相と河井克行法務相のドミノ辞任からの「桜を見る会」問題、とても「国民投票法改正案」まで手が回らなくなってしまいました。

しかし、これも「日米貿易協定承認案」と同様に時間さえあれば数の暴力で強行採決できるのですから、今国会を12月9日に閉会せず、会期延長すれば成立させられるのです。長年にわたって「憲法改正」の旗印を掲げ、毎年の「憲法記念日」には日本最大の右翼組織「日本会議」の改憲大会にビデオメッセージを送り続けて来た安倍首相なのですから、こんなチャンスは他にありません。自民党内から「4選は無理」という声が出始め、そろそろレイムダック化して来た安倍首相にとって、「自分の政権で憲法改正を成し遂げて歴史に名を残す」という念願を達成するためには、今が最大のチャンスなのです。

もちろん、こんなことは、あたしが言わなくても安倍首相本人が誰よりも分かっていることです。それなのに、安倍首相は、自分の最重要課題である「憲法改正の前進と引き換えにしてまで、桜を見る会の追及から逃げることを選び、野党が要求した会期延長を拒否したのです。もしかすると安倍首相は、本当は憲法改正など、どうでもいいのではないでしょうか?自分の支持層である改憲派へりリップサービスとして「憲法改正!」「憲法改正!」と連呼して来ただけで、本当は憲法など読んだこともないのではないでしょうか?なにしろ「ポツダム宣言」も読んだことがなかったのですから。

それとも、「憲法改正」は本当に念願であり、何としてでも前へ進めたいという気持ちに嘘はない。しかし、「桜を見る会」でのやりたい放題がすべて明るみに出てしまうと、憲法どころの話じゃなくなる。そのためには、今国会での「国民投票法改正案」の成立と引き換えにしても、野党からの追求から逃げ切らにければならない…ということなのでしょうか?そうであれば、安倍首相は、自身の進退が問われるほどの悪事を働いていたことになります。

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