突然のビキッ!科学者が教える、ぎっくり腰や五十肩が起こる原因

shutterstock_657890749
 

何の前触れもなかったのに、ある時ちょっと重たいものを持ち上げたら激痛が…。腰や肩で起こるこんな現象は、そのまま無理をしすぎたり放置しておくと大変なことになりかねないようです。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では著者で現役科学者のくられさんが、ぎっくり肩や五十肩のメカニズムを詳しく解説するとともに、その適切な治療法を紹介しています。

ぎっくり腰と五十肩(四十肩)

寒くなってくると、運動が億劫になり、運動をサボると筋肉が弱り、また寒さで微妙に緊張しているところで、灯油タンクなんかを持ち上げると突如、激痛に悩まされることがあります。

それが通称、ぎっくり腰と呼ばれる腰の痛みであったり、五十肩といったものです。

この2つはあまりに一般的に「年を取ると出る謎の痛み、なんか我慢するもの」みたいな風潮がありますが、さにあらず、モノによってはちゃんと病院に行った方がよいのです。その理由を説明しましょう。

ぎっくり腰について

これは、腰を支える複雑に重なった筋肉の一部に、急な運動や力が加わったところでブチっといく…本来、ゆっくり伸びて対応できるところが対応できず肉離れが発生、炎症が起きて症状として出る「筋・筋膜性腰痛症」が一つ。

そして、腰椎の関節である椎間(ついかん)をあらぬ方向にねじってしまって起こる「椎間関節症」、この二つが大半です。

いずれも炎症を抑える薬を飲んで栄養を取って安静にするしかなく、ここで動き回ると悪化していきます。なので、思い切って2、3日休むというのが重要です。痛みがひどい場合はもちろん病院で診てもらう必要があります。

その上で、痛みが治まってきたらコルセットをつけて少しずつ慣らしていくのが大事なのですが、ここで怖いのが、コルセットをつけることでコルセットに頼ってしまうこと。

コルセットは腰を支えてくれてめちゃめちゃ楽になるのですが、何週間もつけていると、腰を支える筋肉自体が弱ります。楽をすることで、別にここに筋肉いらんやん…って体がサボるようになるわけですね。こうなってしまうと、今後より一層、ぎっくり腰を起こしやすい脆弱な体になってしまいがちです。

故に、1週間くらいで直ってきたら、今度は少しずつ可動域を増やすようがんばって、腰の筋肉を鍛えていくことが重要です。毎日のウォーキングやランニング、腰回りの筋トレなどをがんばることが再発予防にめっちゃ重要です。

五十肩(四十肩)について

こちらの原因は酷使することによる老化が原因で、じわじわと原因となる病巣が成長していき、ある日、なんらかのきっかけで爆発する…というのが痛みの正体です。

これらは上腕二頭筋長頭腱炎、石灰沈着性腱板炎、肩腱板断裂や肩峰下滑液包炎、などなど、場所や症状によって痛みの正体が違っています。またこれらが単一の場合以外に、複数当てはまる場合など、原因や病態が複雑で、素人判断は難しいため、整形外科で速やかに診てもらうべき案件です。

いずれにしても、年を取ったから起きるものだと放置していて良いものではありません。それというのも、症状によっては放置しておくと自然に治ることもあるにはあるのですが、放置することで、関節が癒着して動きが制限されるようになってしまうことがあります。

欧米ではフローズンショルダーなどという五十肩を表す言葉もあるくらいです。動かさないとより筋肉が痩せて萎縮してますます症状が悪化することもあるため、治療が必要です。

詳しくは医師の診断に基づいて、という話になりますが、ざっくりと五十肩の治療について説明すると、最初の急性期は、投薬に加えて、患部を冷やすなど、とにかく炎症を抑え、痛みをしのぐ方向になります。

そして、痛みの慢性期に入ると、今度は関節部を温めて、関節を動かして可動域を復活させることになります。要するにリハビリですね。で、この狭まった可動域を広げるというのが、非常に痛い。その上、どれくらいの運動をどのようにすればいいのかが、とても見極めが難しいのです。医師の指示通りに根気強くやっていくしかありません。

しかし、ただ痛みを我慢しろ、という話ではなく、抑える方法もちゃんとあります。ブロック注射だとか、関節部へステロイドやヒアルロン酸ナトリウムなどを入れるなどで緩和する方法はいろいろあるので、医師の指示に従ってちゃんと治していくことがメインです。

アリエナイ理科ポータルのこの記事をお読みになりたい場合は、こちら

image by: Shutterstock.com

くられこの著者の記事一覧

シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 アリエナイ科学メルマ 』

【著者】 くられ 【発行周期】 週刊

print
いま読まれてます

  • 突然のビキッ!科学者が教える、ぎっくり腰や五十肩が起こる原因
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け