ただ、今は中国も香港と台湾の両方に対して嫌がらせをしなければならず、アメリカとの折衝もあります。そんなこんなで、中国の台湾に対する嫌がらせ攻撃の度合いは少し弱い気がします。嫌がらせが分散しているという感じです。
そもそも香港の民主派デモは蔡英文の追い風となっています。それに加えて中国政府の嫌がらせまで分担して背負ってくれているわけです。蔡英文が香港デモを擁護し支持し、逃れてきた香港人を受け入れているのも頷けます。逆に、中国は台湾の総統選挙だけにターゲットを絞ることができずに歯がゆい思いをしているかもしれません。
中華人民共和国は、国共内戦後に「世界革命、人類解放」を目指して樹立されてからすでに70年を超えました。そんな中国の最大の弱味は、「民意」よりも「党意」が優先された状態で世事万端を決めることです。
それは今も変わらず、「民意を問うシステム」は確立されていません。だからこそ、いかなる国の選挙も反対するだけでなく、妨害するわけです。1996年の台湾総統選挙の際は、「文攻武嚇」でミサイル演習と称して台湾に向けて実弾を発射したほどでした。2000年の選挙の際も、陳水扁が当選すれば戦争だと恫喝しました。
その後も、陳水扁に投票したのは南部の人々だから、人民解放軍を台湾南部から上陸させると恫喝を繰り返しました。また、中性子爆弾を使用するぞとの恫喝もありました。しかし、その当時から台湾が耳を貸すのは、中国の恫喝ではなくアメリカの意見でした。
習近平体制になってから、デジタル管理を登用し、人民の言動や行動をすみずみまで徹底管理するようになりました。これを「中国共産党最後のあがき」とみる学者やウォッチャーも少なくありません。しかし、これはむしろ中国の伝統的な儒教の全体主義的考え方であり、先祖返りだと私は見ています。
自分の思い通りにならないと気がすまないという気性は、中国人のメンタルです。それを理解すれば簡単です。つまり、すべては中国の思いのままに物事が運べば満足なのです。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年12月19日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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