イランの姿を北朝鮮と重ね合わせる
米国は昨年12月22日、11月12日に実施した米韓軍事演習のうち、金委員長とおぼしき北朝鮮要人を拘束したシナリオの写真を公表しました。金委員長が最も怖れているとされる斬首作戦です。
これに対して、北朝鮮は年末ぎりぎりに4日間という異例の長さで朝鮮労働党中央委員会総会を開き、時間稼ぎの姿勢に終始しました。期限としてきた12月31日まで米国の回答を待つ姿勢を見せたのです。それでも米国側の回答がないとみるや、恒例となっている新年の辞も行わないなど、表面的には強硬姿勢への回帰を装って見せたのです。
そうしたところに、絶妙ともいえるタイミングでのソレイマニ司令官の殺害です。
果たせるかな、金正恩委員長は7日、暗殺の危険性が囁かれるのを無視するかのように、公の場に姿を見せたのです。これは、北朝鮮の国内向けには米国の恫喝に怯んでなどいないことを示しているのですが、その実、丸腰の姿を見せることによって米国と対決するつもりはないというメッセージを発したのです。
マスコミ報道は、イランならイラン、イラクならイラクの出来事にだけ焦点を合わせることになりますが、ソレイマニ氏を殺害した米国の立場から、あるいは報復を口にするイランの立場から眺めると、違った景色が見えてくるのです。(小川和久)
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