現役アナウンサーが指南。3ステップで「会話への恐怖」克服術

 

心理的アプローチによるコントロール術

ここまで述べてきた、物理的、肉体的アプローチによって、話す自分の状態は、ずいぶん楽になっているはずです。心の中に渦巻いていたプレッシャーというモンスターは、かなり小型化しています。モンスターは小型化させてから倒すのが、効率的ですよね。

そして振り返ってみますと、当メルマガでこれまで幾度となく述べてきた気持ちのコントロール法は、相手を味方だと思うこと、相手の為に話すこと、そして、相手が喜んでいる姿や、話したことで良い結果が出たことを画像化して、想像すること…このような内容でした。

ここでもうひとつ、さらに付け加えるならば、「相手と自分の関係の客観化」という表現ができると思います。さきほど物理的アプローチの項目の時に、相手の顔を近くで大きく見る前に…とお話ししましたが、これは心理的にも同じことが言えると思います。

つまり、自身のイメージの中で、相手の存在や、自分との関係を、大きくし過ぎないこと。そのためには、心理的なイメージの中で、相手の像を必要以上に大きくせず、例えば、相手と自分が並んでいる姿を、ちょっと引き気味で想像してみること。

写真で言うと、相手のアップやバストショットぐらいの大きさで捉えていたものを、自分と相手とのツーショット、ちょっと引いた、全身が見えるぐらいのツーショットでイメージすることです。この客観性が、ぐーんと、話す自分をリラックスさせてくれます。

そして、そのふたりの関係性において、話すことは、オセロや将棋のようなゲームだと考えてみてはどうでしょうか。たとえその2人の立場が、社長と社員の関係であっても、将棋盤を挟めば、両者とも、1プレーヤーですよね。そんなふうにゲームをしているツーショットを、画像で思い浮かべるのです。

そうすることで、言葉は、一手一手、打っていけばいいんだ、という心構えができます。ゲームで自分の番が来たときに、自分の駒をいきなり最後まで進めてしまう人なんて、いませんよね。話も同じです。

自分の話す番が来たときに、一気に最後まで話し尽くそうと思ってしまうから、苦しいのです。自分が駒を進めて、相手の反応を見てから、次の手を打てばいい。相手の反応を見る、ということは、その分、論点が絞れる、ということです。それはつまり、自分が考える範囲、言うべきことが、少なくて済む、ということなんですよね。

そういう意味においても、あるいは何につけても、話し方に悩む人の多くが、いきなり大きな対象に挑み過ぎているのではないか?逆に、上手に話せる人は、自分を楽にするように、楽にするように、考えている。

このあたりが、話し方の相談を受けていて日々感じる、「話し頭」の良し悪し、なのだと思います。

image by: Shutterstock

熊谷章洋この著者の記事一覧

アナウンサー歴30年、極限の環境で話し続ける著者が、実体験から会得した「話し方のコツ」を理論化。人前で話す必要がある人の「もっと〇〇したい」に、お答えしています。一般的な「話し方本」には無い情報満載。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 話し方を磨く刺激的なひと言 』

【著者】 熊谷章洋 【月額】 ¥346/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 月曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 現役アナウンサーが指南。3ステップで「会話への恐怖」克服術
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け