ニューヨークで財布を拾ってもらうとどうなる?日本人社長の実話

 

NYで財布を落としても戻ってくる?

ダラダラと関係ないことを書きましたが、「落とし物」に関して、最近感じたニューヨーカーの特徴を書きたいと思います。

先日(も当たり前のように)財布を落としました。絶対2度と落し物はしない!と誓った日に、名刺ケースを落とした経験がある僕は、落し物をする、という前提で物事を進めることにしています。財布の中には、いつも英語で大きくメッセージを書いた紙をラミネートしてカード状にしたものを、いちばん目立つところに差し込んでいます。「この財布を拾った方は、1-917-XXX-XXXXまで、もしくはtakahashi@weeklybiz.usまで送ってください!」

落としてすぐに電話がかかってきました。「拾ったけれど、どうすればいい?」と男性の声でした。

実は、ニューヨークはたまたまかもしれませんが、ほぼ90%以上の割合で、財布が戻ってきます。ひょっとすると、東京以上に、落し物は僕の元に返ってきました。今までの経験上、落として、そのまま返ってこなかったケースの方が圧倒的に少なかった。

理由はわかりません。キリスト教圏の国だから、とか、欧米の人の方が善意がある、とかそれっぽい理屈を言うこともできますが、もちろん、たまたま、だとも思います。どうあれ、戻ってくる可能性が高く、そのことが更に、僕の落し物グセに拍車をかけているのかもしれません。(落し物がその後、どうなったかのデータだけは個人のくせに腐るほどある)。

そして、今回も電話がかかってきました。「いま、どこどこのカフェにいるから、取りにおいで」と。「ありがとおおお!!!!」と僕は電話を切り、場所を聞いたカフェにタクシーですぐに向かいました。窓際に座っている50歳くらいの黒人男性は、僕が入店したと同時に手を振ってきました。息急き切って入店してきたことと、財布の中には写真付きのIDも入っていたことから、すぐに僕だと気付いたようです。

とてもいい人そうな少し恰幅のいい彼は、どこに落ちていたかを笑顔で説明し、財布を渡してくれました。僕は何度もお礼を言って、財布の中から、20ドル札を1枚抜いて彼に渡しました。日本だと、いきなりハダカの現金を渡すことが失礼と思われる風潮があるかもしれませんが、こちらでは至って普通のこと。彼の当然の権利で、僕の当然の義務です。彼は、すっと当たり前のように受け取り、笑顔で僕たちは別れました。最後にもう一度お礼を言って。

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