習近平の「国賓待遇来日」は安倍外交の政策ミスと断言できる理由

kitano20200129
 

これまでも「今までの外交努力が水の泡。習近平「国賓」で安倍首相に痛烈批判」等の記事で、習近平国家主席を国賓として迎える予定の安倍総理に対して苦言を呈してきた、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。北野さんは今回、自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、中国に接近する総理の姿勢を改めて批判するとともに、「ポスト安倍」についても言及しています。

北野は、日本政界の現状をどう思うか?

今日は、日本政界の現状について考えてみましょう。

民主党政権の悪夢

09年、民主党・鳩山政権が誕生しました。この政権は、極めて短期間で、日米同盟をボロボロにしました。

12年、野田政権の時代、日米、日中、日ロ、日韓関係は最悪になっていた。日中関係は、尖閣国有化で戦後最悪になった。ロシアは、メドベージェフが北方領土を訪問し、日本国民が怒っていた。韓国は、李が竹島を訪問。さらに、「日王が韓国に来たければ謝罪せよ」などといい、国民が激怒していました。

民主党はリベラルで、すべての国と仲良くするのかと思いきや、実際には、日米、日中、日ロ、日韓との関係が最悪になった。興味深いパラドックスですね。

民主党が政権についたこと、仕方なかったでしょう。自民党がしっかりしていれば、決して政権交代は起こらなかったはず。ですが、民主党の3年間は、ひどかった。国民には、この時のトラウマがあり、なかなか野党支持が増えないのだと思います。

安倍政権の外交的成功

安倍政権は、悲惨な日本外交を立て直す必要がありました。2013年、中韓の反日プロパガンダが成功し、日米関係は最悪でした。しかし2014年3月、ロシアがクリミアを併合したことで、オバマは安倍総理に接近します。日本を「対ロシア制裁網」に入れるためです。

2015年3月、AIIB事件が起こりました。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、イスラエル、オーストラリア、韓国など、いわゆる親米諸国群が、中国主導AIIBに参加することを決めた。世界の人々は、「アメリカの衰退と中国の影響力の大きさ」を自覚しました。この時、日本はAIIBに入らなかった。それで、日米関係はよくなりました。そして、安倍総理は2015年4月、アメリカ議会で「希望の同盟演説」を行った。日米関係は、ものすごく良好になりました。

2015年12月、いわゆる慰安婦合意で、日韓関係もしばらく好転。2016年12月、プーチンが訪日し、日ロ関係は劇的に改善されました。こうして安倍総理は、2016年末時点で、民主党が破壊しつくした日米、日ロ、日韓関係を修復させたのです。

皆さんご存知のように、中国は2012年11月、「反日統一共同戦線戦略」をロシア、韓国に提案していた。安倍総理は、中国の戦略を無力化することに成功したので
す(この辺の詳細、山盛り証拠は、こちらの本『中国に勝つ日本の大戦略』(北野幸伯 著/扶桑社)でゲットしてください。

ブレる安倍外交

安倍外交は、2015、2016年、2017年、満点でした。それで私は、ずっと安倍政権を支持してきた。しかし、特に「安倍信者」ではなく、消費税増税、3K外国人労働者の大量受け入れなどに、ずっと反対してきました。

ところが、安倍外交は、2018年からかなりおかしな方向にいっています。2018年7月、米中覇権戦争がスタートしました。この頃から、日本は中国に接近。そのせいで、日米関係がギクシャクしています
日ロ関係も、安倍政権が、「せめて2島を取り返そう!」と急ぎはじめたせいで、再び悪化してきました。日韓関係は、皆さんご存知ですね。

というわけで、現状

  • 日米関係=あまりよくない
  • 日ロ関係=よくない
  • 日韓関係=最悪

これは、まさに中国の「反日統一共同戦線戦略」そのままの状態。そして、日中関係は、「まあまあ」。

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