紳士服の大手4社軒並み赤字。オーダースーツ不況に襲われた理由

2020.02.10
 

2番手、AOKIホールディングスの2020年3月期第2四半期決算(連結)は、売上高827億9,500万円(同2.0%減)、営業利益3億7,700万円(同75.8%減)、経常損失4億9,600万円と、アオキも経常ベースで赤字となった。当期純損失も、9億8,800万円が出た。

「Aoki Tokyo」外観

「Aoki Tokyo」外観

そうした結果を受けて、アオキはオーダースーツ専門店「Aoki Tokyo」3店を順次閉店。昨年12月に池袋東口店、1月に新宿東口店が営業終了。残った銀座6丁目店も2月24日に閉店し、ブランドが消滅する。「Aoki Tokyo」は1着2万円台からの低価格を訴求し、昨年3月に立ち上ったが1年持たなかった。「Aoki Tokyo」では、カウンセリングを強化。フルオーダーに近い丁寧なサービスを訴求し、半年を経過して計画を上回っていたはずなのに、消費税の影響もあって変調をきたしたか。

閉店するアオキのオーダースーツ専門店「Aoki Tokyo」

閉店するアオキのオーダースーツ専門店「Aoki Tokyo」

今後は、18年10月より「パーソナルオーダー」という、簡素なパターンオーダーを既存の「AOKI」、「オリヒカ」で全国展開しており、オーダースーツはこの販売に集中する。

3番手、コナカの2019年9月期決算(連結)は、売上高606億9,800万円(前年同期比6.8%減)、営業利益7,300万円(同91.9%減)、経常利益4億5,400万円(同66.8%減)と大幅な減収減益。当期純損失は53億4,400万円の赤字であった。

コナカは特に、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏のプロデュースで、オーダースーツの新ブランド「ディファレンス」の店舗を立ち上げるほど、気合が入っていた。佐藤氏は、セブン-イレブン・ジャパンの100円セルフ式コーヒー「セブンカフェ」をはじめ、ヒットメーカーとして知られている。

コナカのオーダースーツ専門店「ディファレンス」。佐藤可士和プロデュース

コナカのオーダースーツ専門店「ディファレンス」。佐藤可士和プロデュース

「ディファレンス」1号店は、16年10月、東京・青山に誕生している。

「ディファレンス」外観

「ディファレンス」外観

「ディファレンス」の特徴は、ユーザーが自由にアプリでスーツをパーソナライズできることだ。パーソナライズとは、ユーザーがサイズ、生地、スタイル、ディテールをカスタマイズできる仕組みを指す。パーソナライズしたデータをアプリで管理でき、2着目以降の注文は、店舗に行かなくてもネットで済ませられる。

「ディファレンス」では2着目からは、スマートホンのアプリで注文できる

「ディファレンス」では2着目からは、スマートホンのアプリで注文できる

価格は1着で3万8,000円だが、2着で4万8,000円に下がることもある。

「ディファレンス」は好評で53店まで増えているが、それ以上に既製服の売上が減ってしまった。

4番手、はるやまホールディングスの2020年3月期第2四半期決算(連結)は、売上高211億6,000万円(前年同期比4.4%減)、営業損失9億9,400万円、経常損失8億4,900万円、当期純損失7億3,400万円と、はるやまも赤字の決算であった。

はるやま商事は、12年5月に初の都市型ショップとして、東京・赤坂に「ハルスーツ」をオープン。専属のコーディネータが顧客のカウンセリング、採寸、コーディネートなどを提案する対話型サービスを開始。パターンオーダースーツの販売を始めた。

はるやまの都心店「HAL SUIT」。オーダースーツに力を入れている

はるやまの都心店「HAL SUIT」。オーダースーツに力を入れている

「HAL SUIT」外観

「HAL SUIT」外観

「P.S.FA(パーフェクト・スーツ・ファクトリー)」と、「スーツのはるやま」の都心部店でもパターンオーダーを扱っているが、季節の変わり目ということもあり、品薄になっている商品も多い。それほどオーダースーツが売れていながら、やはり全体の売上が落ちている。

print
いま読まれてます

  • 紳士服の大手4社軒並み赤字。オーダースーツ不況に襲われた理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け