紳士服の大手4社軒並み赤字。オーダースーツ不況に襲われた理由

2020.02.10
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では、4社を追う中堅どころで上場会社のタカキュー、オンリー、銀座山形屋はどうだろうか。

タカキューの2020年2月期第3四半期決算(非連結)は、売上高165億400万円(前年同期比10.2%減)に対して、営業損失3億4,600万円、経常損失1億7,400万円、当期純損失4億4,900万円の赤字であった。タカキューもスタイルオーダーというパターンオーダーを展開している。また、17年10月には新宿サブナードに、「スーティスト」というオーダースーツ専門店を出店した。

タカキューのオーダースーツ専門店「スーティスト」

タカキューのオーダースーツ専門店「スーティスト」

オンリーの2020年8月期第1四半期決算(連結)は、売上高18億700万円(前年同期比7.4%減)、営業利益2億6,400万円(同24.9%減)、経常利益3億1,400万円(同18.8%減)、当期純利益2億100万円(19.4%減)と減収減益ながら、わずかでも利益が出ている。

オンリーは17年6月より、採寸と生地選びだけでオーダースーツがつくれる、「ミニマルオーダー」という顧客が決める項目を最低限に抑えた、オーダースーツ入門者向けのブランドを立ち上げた。店舗に行かなくても自分で採寸できる、Web通販用の特製採寸メジャーも開発している。

オンリーの旗艦店「オンリープレミオTOKYO」有楽町店。オーダースーツの注文も受ける

オンリーの旗艦店「オンリープレミオTOKYO」有楽町店。オーダースーツの注文も受ける

オンリーの「ミニマルオーダー」の流れ。専用メジャーで顧客が採寸して、通販での注文も可能

オンリーの「ミニマルオーダー」の流れ。専用メジャーで顧客が採寸して、通販での注文も可能

オンリーではサイズ対応のバリエーションを考慮した、改良型パターンオーダーの「テーラーメイド」を02年から展開しており、オーダースーツでは2ブランド体制である。

銀座山形屋の2020年8月期第2四半期決算(連結)は、売上高24億100万円(前年同期比4.2%減)、営業損失1億4900万円、経常損失1億700万円、当期損失1億2500万円となっており、やはり赤字となっている。

「銀座山形屋」外観

「銀座山形屋」外観

銀座山形屋の場合、サイズが補正できるだけでなく、なで肩・いかり肩、猫背、O脚などの体形補正も可能なイージーオーダーのスーツを扱っており、1着が5万円ほどからと価格も高めになる。

「銀座山形屋」はイージーオーダーに注力

「銀座山形屋」はイージーオーダーに注力

つまり、紳士服主要7社のうち、利益が出ているのはオンリー1社のみということになる。そのオンリーとて減収減益、ひとり勝ちと言えるほどの内容でない寂しさである。

新規参入者にはどのようなプレーヤーが名を連ねているのか。

ファッション通販サイト「ゾゾタウン」を運営するゾゾは、スーツ「2Bスーツ」をはじめ、ドレスシャツ、デニムなどの衣料品を、オーダーメイドによるPB(プライベートブランド)で製造販売する、アパレルに突如参入してきた。結果的に失敗し、創業者の前澤友作氏が昨年9月に社長を辞任。ソフトバンクグループの傘下に入ったものの、そのインパクトは大きかった。

18年1月に販売を開始したオーダーメイドによるPBの展開を、第2の創業と位置付けていたのだ。「2Bスーツ」は同年7月に発売されている。

ゾゾは、専用アプリによりユーザー自身でサイズを測り、その測定値に基づいてぴったりのサイズの衣料品を提供。世界に70億人の人口があるなら70億通りの衣料がなければならないとし、ファッション革命を起こすと意気込んでいた。「2Bスーツ」は、発売時の特別価格で1着2万円台の安さも魅力だった。

17年11月に、ゾゾは「ゾゾスーツ」というサイズ測定のためのボディスーツを発表。希望者には無料でアプリと共に配布した。顧客の詳細なサイズデータを蓄積して、その情報を基にあらゆる衣服を供給して、オンラインSPA(製造小売業)の頂点を目指すとしていた。

ゾゾの採寸用ボディスーツ「ゾゾスーツ」

ゾゾの採寸用ボディスーツ「ゾゾスーツ」

ところが、「2Bスーツ」の実情は、生産体制の甘い見通しによる到着の遅れに加え、実際に届いた商品のサイズがまるで合っていないという不満が続出。1着ずつ型紙をつくるので、デジタル化によるAIを駆使した新しいフルオーダーとも言うべき野心的な試みであったが、技術力が及ばなかった。

ゾゾは商品が到着してから1年間であれば、何度でも無料でお直しをすると誠実に対処したが、オーダースーツに期待する消費者のマインドを冷やしてしまった感は拭えない。

ゾゾのPB事業の売上高は、19年3月期に27億4,600万円に上った。一転して、20年3月期は第3四半期までに9億1,800万円(前年同期比59.4%減)の売り上げと激減している。

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